家庭の医学 大全科

健診・人間ドック 検査結果のくわしい解説とQ&A

目と耳の検査

視力・眼底・眼圧・聴力の検査
視力検査、眼底検査、眼圧検査、聴力検査

視力・眼底・眼圧・聴力の検査 視力検査、眼底検査、眼圧検査、聴力検査

視力検査

視力検査の概要

近視や乱視、遠視の有無や、一定の距離からどのくらいの大きさまでものを見分けることができるかを調べる検査です。視力検査機や試視力表を用いて検査します。

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視力検査の判定値

日本人間ドック学会の判定値
視力検査の判定値 日本人間ドック学会の判定値
視力(裸眼、矯正両方の場合は矯正で判定)(悪い側で判定)
異常なし:1.0以上
要経過観察(生活改善・再検査):0.7〜0.9
要治療・要精検:0.6以下

視力検査に関連する主な病気

加齢黄斑変性
糖尿病網膜症
白内障
網膜剥離
*病気ではないが、近視、乱視、遠視などの屈折異常でも視力は低くなる

矯正視力が1.0以上なら問題なし

視力とは、眼鏡をかけたりコンタクトレンズをつけたりした状態の矯正視力も指すため、矯正した視力が1.0以上あれば眼が悪いとはいいません。裸眼視力が0.7未満になると、眼鏡やコンタクトレンズで矯正することが多くなります。

検査の際、目を細めて見ようとすると、実際より視力がよくなってしまうため、細めないように気をつけてください。視力検査だけでわかるのは、近視や乱視、遠視の有無や眼鏡やコンタクトレンズが適切かどうかだけなので、詳しい検査が必要といわれた場合は、きちんと受けましょう。昨年の結果と比較して急に視力が落ちた場合なども、眼科で検査を受けたほうがよいでしょう。

眼底検査

眼底検査の概要

眼の奥にある網膜と、その血管などを観察し、異常がないか調べる検査です。動脈硬化など全身の病気を推察することができます。特殊なカメラで眼底を撮影します。

眼底検査の基準

  • 異常所見なし

眼底検査に関連する主な病気

全身で唯一、血管を直接観察できる

黒目(角膜)に光を当てて瞳孔の奥にある眼底の網膜と、そこに広がる血管の状態や出血があるかどうかなどを観察します。緑内障や網膜剥離、加齢黄斑変性など、失明に至る可能性のある病気の早期発見に役立ちます。人の体の中で唯一血管を直接観察できる部位なので、高血圧や動脈硬化など全身の病気も推察できます。また、糖尿病の合併症である網膜症などを発見することもできます。

眼圧検査

眼圧検査の概要

眼球の内部にかかる圧力を測定して、主に緑内障を調べる検査です。健康診断や人間ドックなどでは「空気眼圧計」による検査が広く行われています。目の位置を固定し角膜に瞬間的に空気を噴射して、このときのへこみ具合を調べます。

眼圧検査の基準値

  • 正常上限 20mmHg
    (日本眼科学会「緑内障診療ガイドライン」)

眼圧検査に関連する主な病気

緑内障
高眼圧

緑内障の診断に重要な検査です

眼球がその形状とほどよい硬さを保ち、ものを見るための機能を発揮することができるのは、眼球の内部に一定の圧力がかかっているためです。

眼圧が高くなると視神経が圧迫され、視力の低下や視野狭窄(視野が狭くなること)がみられるようになります。これが緑内障です。

また、眼圧は正常なのに視神経が障害される「正常眼圧緑内障」もあり、40歳以上の日本人に多いといわれています。緑内障の診断には、この眼圧検査のほか、眼底検査、視野検査などを行います。

聴力検査

聴力検査の概要

高周波の音(4000Hz)と低周波の音(1000Hz)をそれぞれ一定音量ずつ上げていき、耳の聞こえをチェックする検査です。ヘッドホンをして、検査機器から出る音を片耳ずつ聞いて調べます。

聴力検査の判定値

日本人間ドック学会の判定値
聴力検査の判定値 日本人間ドック学会の判定値
聴力(dB)
異常なし:1000Hz 30dB以下/4000Hz 30dB以下
要経過観察(生活改善・再検査):1000Hz 35dB/4000Hz 35dB
要治療・要精検:1000Hz 40dB以上/4000Hz 40dB以上

聴力検査に関連する主な病気

難聴の原因や程度がわかる検査です

難聴は、耳の音が伝わる外耳や鼓膜、中耳の異常による場合(伝音難聴)と、音を感じる内耳や聴神経の異常による場合(感音難聴)、または両方が障害されて起こる混合性に分けられます。

聴力低下には、この伝音難聴と感音難聴があります。その他、耳鳴りやめまいの原因を解明するときにも、この検査を行います。検査前は、ヘッドホンで音楽やラジオを聴くなどを避け、イヤリングやピアスは外して検査を受けましょう。また、耳垢が聴力低下の原因になっていることもありますので、検査の前には耳穴の掃除をしておきましょう。耳垢が固まって取りにくく、難聴の原因となっているときは耳鼻科で取ってもらうこともできます。

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よくある質問Q&A

目や耳の検査でわかる病気とは?
目の検査で体の病気がわかることがある
眼圧や眼底を調べることによって緑内障や加齢黄斑変性など失明に至る可能性のある病気を早期に発見できます。そのほか、血管や網膜の状態を検査することによって動脈硬化や糖尿病の合併症がわかります。聴力検査では難聴の早期発見にも役立ちます。聴力低下は認知症の最大のリスクとなっています。
目や耳の病気の早期発見だけでなく、全身の病気の発見にもつながります。
監修者プロフィール
和田高士 医師
監修
和田高士(わだたかし) 医師
東京慈恵会医科大学大学院医学研究科健康科学 教授
1981年東京慈恵会医科大学卒業、2008年東京慈恵会医科大学 総合健診・予防医学センター教授を経て、現、東京慈恵会医科大学大学院医学研究科健康科学教授。日本肥満学会評議員、日本動脈硬化学会評議員、日本臨床検査医学会管理医、肥満症診療ガイドラインの執筆も担当。日本人間ドック学会では、理事を務める。