家庭の医学 大全科

健診・人間ドック 検査結果のくわしい解説とQ&A

血中脂質の検査

少ないと要注意のコレステロールを調べる検査
HDLコレステロール

少ないと要注意のコレステロールを調べる検査 HDLコレステロール

HDLコレステロールの検査の概要

脂質であるコレステロールは、そのままでは血液に溶けないため、血液中では粒子状をした「リポたんぱく」の構成成分として存在しています。このリポたんぱくには複数の種類があり、そのうちのHDL(高比重リポたんぱく)に含まれるコレステロールをHDLコレステロールといいます。血液を採取して調べます。

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HDLコレステロールの判定値

特定健診の判定値
HDLコレステロールの判定値 特定健診の判定値
HDLコレステロール(mg/dL)
保健指導判定値:39mg/dL以下
受診勧奨判定値:34mg/dL以下
日本人間ドック学会の判定値
HDLコレステロールの判定値 日本人間ドック学会の判定値
HDLコレステロール(mg/dL)
異常なし:40mg/dL以上
要経過観察(生活改善・再検査):35〜39mg/dL以下
要治療・要精検:34mg/dL以下

HDLコレステロールの減少に関連する主な病気

HDLコレステロールには動脈硬化を防ぐ働きがあります

HDLは、LDLが体の各組織に運んだコレステロールのうち、使いきれずに余ったものを回収して肝臓に戻す働きをしています。そのため、 HDLコレステロールが少ないと、動脈硬化のリスクが高まることがわかっています。すなわちHDLコレステロールは、動脈硬化を防ぐ働きをしているため、「善玉コレステロール」とも呼ばれます。

HDLコレステロールを増やすには、ウオーキングなどの適度な有酸素運動が効果的であることもわかっています。喫煙者には禁煙が必要です。

Non-HDLコレステロールとは

Non-HDLコレステロールは、総コレステロールからHDLコレステロールを除いた値です。LDLコレステロール以外の動脈硬化を促進する脂質も含まれています。特定健診では、中性脂肪が400mg/dL以上や食後採血の場合などに、LDLコレステロールの代わりにこちらで評価することがあります。

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よくある質問Q&A

なぜ「善玉コレステロール」と呼ばれているの?
余分なコレステロールを回収し、肝臓に戻す働きをしているためです
HDLコレステロールは、増え過ぎたコレステロールを回収し、さらに血管壁にたまったコレステロールを取り除いて肝臓に戻す働きがあります。LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が動脈硬化の危険因子であるのと反対に、抑制する働きがあるため、善玉コレステロールといわれています。ただしLDLコレステロールが120mg/dL以上など相当高い場合には必ずしも動脈硬化抑制効果はなくなります。
監修者プロフィール
和田高士 医師
監修
和田高士(わだたかし) 医師
東京慈恵会医科大学大学院医学研究科健康科学 教授
1981年東京慈恵会医科大学卒業、2008年東京慈恵会医科大学 総合健診・予防医学センター教授を経て、現、東京慈恵会医科大学大学院医学研究科健康科学教授。日本肥満学会評議員、日本動脈硬化学会評議員、日本臨床検査医学会管理医、肥満症診療ガイドラインの執筆も担当。日本人間ドック学会では、理事を務める。