家庭の医学 大全科

健診・人間ドック 検査結果のくわしい解説とQ&A

呼吸器系の検査

肺機能、胸部の臓器・器官の異常や異変をチェック
肺機能検査、胸部X線(レントゲン)撮影

肺機能や胸部の臓器や器官の異変をチェック 肺機能検査、胸部X線(レントゲン)撮影

肺機能検査

肺機能検査の概要

吸い込んだ空気は気管支を通って肺の血管に取り込まれ、同時に、血液中の二酸化炭素が気化して肺に出てきて吐く息とともに体外に出されます。

この酸素と二酸化炭素の交換、すなわち呼吸が正常にできるかどうかを調べる検査です。

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肺機能検査の判定値

日本人間ドック学会の判定値
肺機能検査の判定値
呼吸機能(スパイロメトリー)
異常なし:1秒率(%) 70.0%以上/%肺活量(%) 80.0%以上
要治療・要精検:1秒率(%) 69.9%以下/%肺活量(%) 79.9%以下

1秒率:努力肺活量に対する最初の1秒間で吐き出した量の割合。1秒率の低下は気道が狭くなっていることを示す。
%肺活量:年齢や身長から算出された標準量に対する実際の肺活量の割合。健常者に対する肺の容積を表す。%肺活量の低下は肺が広がりにくくなっていることを示す。

肺機能検査に関する主な病気

1秒率が低下している場合:
肺気腫慢性気管支炎などのCOPD(慢性閉塞性肺疾患)
%肺活量が低下している場合:
間質性肺炎
結核の後遺症
胸部の変形
1秒率・%肺活量ともに低下:
肺水腫
気管支拡張症

スパイロメーターという装置を使って検査します

鼻をノーズクリップで押さえ、管のついたマウスピースをくわえて、まずは静かに呼吸を繰り返し、一度大きく息を吐いてから大きく息を吸い、また大きく息を吐きます(肺活量)。これを2〜3回繰り返します。

次に、静かな呼吸を繰り返し、大きく息を吸ってから、一気に思い切り息を吐きます(努力性肺活量)。

胸部X線(レントゲン)撮影

胸部X線撮影の概要

胸部にX線を照射し、撮影したレントゲン写真で、胸部や呼吸器の異常を調べる検査です。正面像と側面像を撮影します。

胸部X線撮影の基準

  • 異常所見なし

胸部X線撮影に関する主な病気

肺がんや肺結核などの診断に重要な検査です

健康な人の肺は黒く写り、骨や心臓部は白っぽく写ります。肺がんや肺炎、肺結核などの異常があると白い影として写ります。医師はどこにどのような影があるかで疑わしい病気を判断し、必要に応じてさらに詳しい検査を行うことになります。

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よくある質問Q&A

肺機能検査で何がわかるの?
空気を肺にためる力と吐き出す力を調べることによって呼吸器系疾患の有無がわかる
努力性肺活量が基準値より低い場合は、何らかの原因で肺が拡がることを制限されている状態であることがわかります。1秒率が少ない場合は、気道が狭くなり空気が通りにくい状態であることがわかります。これらの結果により、呼吸器の病気やその重症度を判断することができます。
監修者プロフィール
和田高士 医師
監修
和田高士(わだたかし) 医師
東京慈恵会医科大学大学院医学研究科健康科学 教授
1981年東京慈恵会医科大学卒業、2008年東京慈恵会医科大学 総合健診・予防医学センター教授を経て、現、東京慈恵会医科大学大学院医学研究科健康科学教授。日本肥満学会評議員、日本動脈硬化学会評議員、日本臨床検査医学会管理医、肥満症診療ガイドラインの執筆も担当。日本人間ドック学会では、理事を務める。