家庭の医学 大全科

健診・人間ドック 検査結果のくわしい解説とQ&A

腎臓・尿路系の検査

尿を遠心分離して成分を調べる検査
尿沈渣

尿を遠心分離して成分を調べる検査 尿沈渣

尿沈渣検査の概要

尿沈渣とは、尿を遠心分離してその成分を顕微鏡で調べる検査です。尿中に出てきた細胞成分(赤血球、白血球、腎臓・尿細管・膀胱などから脱落した上皮細胞)、細胞成分が詰まった円柱、結晶(尿酸など)、細菌などにより、尿路や腎臓の異常がわかります。採尿して調べます。

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尿沈渣検査の判定値

日本人間ドック学会の判定値
尿沈渣検査の判定値 日本人間ドック学会の判定値

HPF(=high power field:400倍視野)

赤血球
異常なし:0〜4/HPF
軽度異常:—
要経過観察(生活改善・再検査):5〜9/HPF
要治療・要精検:10/HPF以上
白血球
異常なし:0〜4/HPF
軽度異常:5〜9/HPF
要経過観察(生活改善・再検査):10/HPF以上
要治療・要精検:10/HPF以上かつ尿路系の臨床症状があるとき

尿沈渣に関連する主な病気

赤血球の増加
IgA腎症
腎盂腎炎
腎腫瘍
膀胱炎
全身性の出血疾患
白血球の増加
尿路系の細菌性感染症(腎盂腎炎膀胱炎尿道炎

尿沈渣ではわずかな成分から腎臓や尿路系の異常を判断します

この検査は、特定健診の項目には含まれておらず、尿たんぱく、尿潜血などで陽性となったときに精密検査として行われます。尿を遠心分離器にかけ、液体と成分に分け、顕微鏡で400倍を1視野として、成分の数や有無を調べます。赤血球は男性より女性のほうに多く出現しやすくなっています。白血球は、正常時にもみられますが、増加していると尿路系の炎症があることがわかります。また、病気に特徴的な成分がみられる場合は、その病気の診断にもつながります。

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よくある質問Q&A

尿沈渣に関して要再検査といわれたが、自覚症状はないので受けなくてよい?
再検査は必ず受ける
白血球は一時的な体調の変化で増えることもあるため、あまり心配のないこともありますが、正確な診断のためには、再検査が必要です。また、女性が生理中に検査を受けると、正しい結果が得られないため、一定の期間をおいて再検査が必要になります。
監修者プロフィール
和田高士 医師
監修
和田高士(わだたかし) 医師
東京慈恵会医科大学大学院医学研究科健康科学 教授
1981年東京慈恵会医科大学卒業、2008年東京慈恵会医科大学 総合健診・予防医学センター教授を経て、現、東京慈恵会医科大学大学院医学研究科健康科学教授。日本肥満学会評議員、日本動脈硬化学会評議員、日本臨床検査医学会管理医、肥満症診療ガイドラインの執筆も担当。日本人間ドック学会では、理事を務める。