家庭の医学 大全科

健診・人間ドック 検査結果のくわしい解説とQ&A

血中脂質の検査

内臓脂肪型肥満の原因となる脂肪を調べる検査
中性脂肪

内臓脂肪型肥満の原因となる脂肪を調べる検査 中性脂肪

中性脂肪の検査の概要

中性脂肪(トリグリセリド)は脂質の一種で、主に食事で摂取され、各組織に運ばれて遊離脂肪酸となり、エネルギー源として消費されます。余った中性脂肪は、脂肪細胞や肝臓に蓄えられます。血液を採取して調べます。

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中性脂肪の判定値

保健指導判定値
中性脂肪の判定値 保健指導判定値
中性脂肪(mg/dL)
保健指導判定値:150mg/dL以上
受診勧奨判定値:300mg/dL以上
日本人間ドック学会の判定値
中性脂肪の判定値 日本人間ドック学会の判定値
中性脂肪(mg/dL)
異常なし:30〜149mg/dL
軽度異常:150〜299mg/dL
要経過観察(生活改善・再検査):300〜499mg/dL
要治療・要精検:29mg/dL以下、500mg/dL以上

中性脂肪の異常に関連する主な病気

中性脂肪が増えるとHDLが減り、動脈硬化を促します

中性脂肪は生命の維持や活動に不可欠なエネルギー源の貯蔵庫であるいっぽう、内臓のまわりに過剰にたまると、内臓脂肪型肥満となります。これは生活習慣病のリスクを高めることで知られています。

中性脂肪は動脈硬化の促進にも大きくかかわっています。血液中の中性脂肪が増えると、LDLコレステロールを小型化して、より血管壁に入り込みやすくなった“超悪玉”に変えるからです。さらに中性脂肪が増えるとHDLコレステロールは減ってしまい、動脈硬化を促します。

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よくある質問Q&A

数値が高くなる原因は?
食べ過ぎ、飲み過ぎ、運動不足により、消費されずに体内に蓄積されていくから
エネルギーが不足したときに非常用のエネルギー源となるのが中性脂肪ですが、食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足だと、使われる機会のない中性脂肪はそのまま体に蓄積されます。
下腹部や腰まわり、太ももなど下半身に皮下脂肪がついた肥満は女性に多く、「皮下脂肪型肥満」といいます。腸や肝臓のまわりに脂肪が蓄えられる「内臓脂肪型肥満」は腹部が太くなる傾向があり、比較的男性に多いタイプです。この「内臓脂肪型肥満」がメタボリックシンドロームの大きな要因です。
監修者プロフィール
和田高士 医師
監修
和田高士(わだたかし) 医師
東京慈恵会医科大学大学院医学研究科健康科学 教授
1981年東京慈恵会医科大学卒業、2008年東京慈恵会医科大学 総合健診・予防医学センター教授を経て、現、東京慈恵会医科大学大学院医学研究科健康科学教授。日本肥満学会評議員、日本動脈硬化学会評議員、日本臨床検査医学会管理医、肥満症診療ガイドラインの執筆も担当。日本人間ドック学会では、理事を務める。