女性に多い片頭痛─適切な治療とセルフケアで痛みを抑えよう

女性に多い片頭痛─適切な治療とセルフケアで痛みを抑えよう

女性に多い片頭痛─適切な治療とセルフケアで痛みを抑えよう

2019.05.27

広告

広告

とくに頭痛の原因となる病気がないのに、繰り返し起こる慢性頭痛。なかでも片頭痛は女性に多いのが特徴です。ひどい片頭痛は、日常生活にも支障をきたします。痛みの引き金となるものを知り、できるだけ避けることや、適切な治療を受けることが大切です。

脈打つような痛みが特徴。光や音に過敏になることも

片頭痛は10~40代に多くみられ、成人では約840万人の患者がいるとみられています。また、女性の患者数は男性の3~4倍といわれています。

ズキンズキンと脈打つような強い痛みが特徴で、一般的に1カ月に1~3回発症し、いったん発症すると4時間から3日ほど痛みが続きます。片頭痛が起こっている間は、光や音、においに過敏になって不快に感じる人が多く、吐き気や嘔吐を伴うこともあり、体を動かしたり体が温まると痛みはさらに強くなります。ほかにも、頭痛発作の前兆として、視界にキラキラした光やギザギザした光(閃輝暗点)が見えることがあります。

病名から、頭の片側が痛むものだけが片頭痛だと思われがちですが、4割近くの人では両側が痛むことがあるようです。

生活リズムの変化が誘因に

片頭痛は、脳の血管を取り巻く三叉神経の異常によって脳の血管が拡張し、その周囲に炎症が起こることによって生じることがわかってきました。また、血管を収縮させる働きのあるセロトニンの減少も一因となっているほか、女性ホルモンや、遺伝的な素因なども関係しているのではないかと考えられています。

片頭痛は、生活リズムに変化があったときに起こりやすいことがわかっています。たとえば、寝不足や寝過ぎのとき、ストレスがあるとき、逆にストレスから解放されたとき、空腹時、音や光の強い刺激を受けたとき、寒暖差の激しいとき、などです。また、女性の場合は、月経前や月経開始直後にも起こりやすいといわれています。

これらの片頭痛の引き金を知るには、どのようなときに、どれくらいの強さの頭痛が起こったか、などを記録する頭痛ダイアリーをつけることが有効です。そこからわかった頭痛の引き金をできるだけ避けて、減らすセルフケアが、頭痛の予防や症状の緩和に役立ちます。

薬は痛みはじめの早いうちに使う

片頭痛の治療には、トリプタン系薬剤が有効とされ、一般的な錠剤のほか、水なしでのめる錠剤、点鼻薬、自己注射薬などのタイプがあります。タイプによって効き目があらわれるまでの時間や、効果の持続時間などに違いがあるので、医師に自分に合ったタイプの薬を処方してもらいましょう。

トリプタン系薬剤は、使うタイミングが大事です。錠剤や点鼻薬は、痛みが起きた直後のできるだけ早い段階で使うことで、効果的に痛みを抑えられるとされています。

ただし、トリプタン系薬剤を使い過ぎると、かえって頭痛の悪化を招くため、一般的に1カ月に10日以内が使用の目安とされています。そこで、頭痛の回数が多い、症状が非常に強い、トリプタン系薬剤があまり効かないなどの場合は、対症療法だけではなく、予防薬が処方されることがあります。予防薬としてカルシウム拮抗薬や抗うつ薬、β遮断薬、抗てんかん薬などを併用することで、頭痛の回数や痛みの軽減を目指します。

このように、片頭痛は薬でコントロールすることが可能です。繰り返し起こる頭痛発作に悩んでいる人は、早めに頭痛治療の専門医を受診し、適切な治療やセルフケアの指導を受けることをおすすめします。

(家庭の医学大全科ウェブサイト 編集部)