関節リウマチのサインを見逃さず、早期の治療を

関節リウマチのサインを見逃さず、早期の治療を

関節リウマチのサインを見逃さず、早期の治療を

2019.06.10

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6月は「リウマチ月間」です。関節に痛みや変形をもたらす関節リウマチですが、この十数年間で薬物療法が大きく進歩し、病気の進行を抑えることが可能になってきました。関節リウマチであらわれる症状をよく理解し、早期に気づいて適切な治療を受けることが大切です。

免疫機能の異常により、骨や軟骨が破壊される

関節リウマチは30~50歳代で発症しやすく、女性の患者数は男性の約3倍とみられています。原因はまだ完全には解明されていませんが、免疫機能の異常によって起こる自己免疫疾患の一つと考えられています。本来は細菌やウイルスなどから体を守る免疫の働きに異常が生じて、自分の骨や軟骨を攻撃してしまうのです。

それによって関節内に慢性的な炎症が起こり、腫れや痛みが生じます。病気が進行すると、骨や軟骨が破壊されて関節が変形し、その結果、手足を動かしづらくなって日常生活に支障が出るようになり、ついには寝たきりになる恐れもあります。

この免疫異常がなぜ起こるのかは、まだよくわかっていません。また、生活習慣などの環境要因のなかでは、喫煙や歯周病が関節リウマチの発症に影響を与える可能性があることが、最近の研究でわかってきました。

関節のこわばり、腫れや痛みなどは関節リウマチのサインかも

関節リウマチは発症後1~2年で、関節の破壊が急速に進行します。いったん破壊された関節は、もとに戻すことはできません。しかし、治療効果が高い新薬が開発されるなど、関節リウマチの治療法は進歩しています。発症後早期の関節破壊が始まる前に適切な治療を行えば、関節破壊を未然に防ぐことが可能とされています。また、薬物療法によって病気の進行を食い止め、症状を落ち着かせることもできるようになってきています。それだけに、病気のサインを見逃さないことが非常に重要です。

関節リウマチは手や足の指に起こることが多いのですが、手首や足首、ひじやひざなど、どこの関節にも起こる可能性があります。代表的な初期症状は、関節の腫れや痛み、起床時に関節のこわばりが15分以上続く、関節を動かしにくい、熱っぽい、疲れやすいなどです。とくに、関節の腫れや痛みが2カ所以上ある場合や、指の付け根と指先から2番目の関節に腫れや痛みが起こっている場合は、関節リウマチの可能性が高いといわれています。これらに一つでも当てはまる症状があれば、まずはかかりつけ医に相談し、必要であればリウマチ治療の専門医を紹介してもらいましょう。

薬物療法で日常生活に支障がない「寛解」を目指す

関節リウマチの治療に使用されるのは抗リウマチ薬で、免疫の異常な働きを抑える作用があります。第一選択とされるのはメトトレキサートという内服薬で、これで病気の進行を十分に抑えられない、副作用などでのみ続けることが難しいといった場合には、生物学的製剤や分子標的薬という新しいタイプの薬剤(点滴、皮下注射、内服)に変更したり、追加して使うことになります。さらに、抗リウマチ薬の生物学的製剤には、後続品であるバイオシミラー(バイオ後続品)という種類もあります。

近年、生物学的製剤や分子標的薬などの新薬が続々と登場しており、治療薬選択の幅が広がっています。現在のところ、関節リウマチを完全に治す治療法はありません。しかし、さまざまなタイプの薬剤を適切に使うことで、多くの場合、関節破壊の発症や進行を抑え、「寛解(かんかい)」と呼ばれる腫れや痛みなどの症状が落ち着き、病気の進行が止まった状態を維持でき、日常生活を問題なく過ごせるようになっています。

寛解達成後も薬物療法を続ける必要はありますが、その状態を長く維持できれば、薬の種類や量を減らしたり、服薬の間隔をあけるなどができる場合もあります。

また、薬による治療と並行して、関節の動きをよくしたり筋力をつけたりするためのリハビリを行うことも大切です。医師や理学療法士などの指導を受けて、早い段階から自分の状態に合ったリハビリを加えることで、日常生活の質の維持や向上を目指します。

(家庭の医学大全科ウェブサイト 編集部)