冬になると気分が落ち込む…それは「冬季うつ」かも

冬になると気分が落ち込む…それは「冬季うつ」かも

冬になると気分が落ち込む…それは「冬季うつ」かも

2019.11.19

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冬が近づくにつれて気分が憂うつになり、日中も眠くてたまらない──そんな症状がみられる場合は「冬季うつ」の可能性があります。毎年、つらい症状をくり返さないためにも、正しい対処法を覚えておきましょう。

寝てばかりなのに、甘いものや炭水化物が無性に食べたくなる

冬季うつとは、季節性感情障害の通称で、うつ病の一種です。20歳代後半以降の女性に多くみられ、女性の患者数は男性の約1.5倍を占めます。

うつ病では通常、不眠や食欲不振といった症状が現れますが、冬季うつでは過眠、過食がみられます。とくに、甘いものや炭水化物を食べたくなるのも特徴で、活動量が落ちているのに過食をするため、体重増加もみられます。

冬場の日照時間の短さが病気の誘因に

冬季うつの発症には、日照時間が深く関わっています。私たちの体には体内時計が備わっていて、睡眠・覚醒といった生理現象やホルモンの分泌を調節しています。この体内時計の司令塔を担っているのが、脳の視床下部にある視交叉上核(しこうさじょうかく)という神経で、目から入ってきた光によって体内時計を調整しています。

冬に向けて日照時間が短くなると、体内時計にとって必要な情報が不足し、様々な不調がおこりやすくなります。また、光が不足すると、精神の安定に関わる脳内神経伝達物質セロトニンの分泌が減るため、これも冬季うつの一因と考えられています。

光を使った治療が有効。生活改善も大切

冬季うつの治療には、脳内のセロトニンの減少を防ぐSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ剤が用いられます。また、過眠や日中の眠気といった睡眠障害を改善するための治療薬も処方されます。

薬物療法以外では、高照度光療法も有効とされています。これは、朝の太陽と同程度(2500~1万ルクス)の強い光を毎朝1~2時間程度浴びるという治療法で、1週間ほどで症状が改善するケースも多いといわれています。

これらの治療に加え、医師からの指導に従って生活を改善することも大切です。毎朝、できるだけ同じ時間に起床し、すぐに朝日を浴びる習慣をつけましょう。日中もできるだけ屋外へ出て、意識的に太陽の光を浴びるようにします。

逆に、夜は暖色系の照明や間接照明を使うようにすると、副交感神経が優位になり、睡眠の質を上げることができます。

食事では、セロトニンの原料となるトリプトファンをしっかりとることが大切。トリプトファンは必須アミノ酸の一種で、肉や魚、大豆、チーズなどに豊富に含まれるので、積極的にとるようにしましょう。

(家庭の医学大全科ウェブサイト 編集部)