20歳代に多い淋菌感染症─放置すれば不妊症の原因にも

20歳代に多い淋菌感染症─放置すれば不妊症の原因にも

20歳代に多い淋菌感染症─放置すれば不妊症の原因にも

2019.07.08

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淋菌感染症は20歳代に多くみられる性感染症の一種で、進行すると男女ともに不妊症の原因になることがあります。女性は男性に比べて自覚症状が出にくく、感染に気づきにくいため十分な注意が必要です。

「性器に淋菌」がみられる人の10~30%は「口の中」にも淋菌が

淋菌感染症は、淋菌に感染することで起こります。患者は男女とも20歳代に多く、とくに20~24歳に感染のピークがみられます。

主に性行為による接触で感染しますが、腟性交だけではなく、口腔性交(オーラルセックス)や、肛門性交(アナルセックス)などで、のどや直腸にも感染します。性器に淋菌感染がみられる人の10~30%は、口の中にも淋菌が感染しているといわれています。

また、妊婦が淋菌に感染していると、出産時に新生児へ感染する場合もあります。

女性は無症状のことが多く、感染に気づきにくい

男性では、淋菌に感染すると2~7日の潜伏期間を経て、尿道のかゆみや熱っぽさが現れるほか、尿道から黄色くドロッとした膿が出ることがあります。また、排尿時に強い痛みを感じたり、性器全体が腫れあがったりすることも。進行すると、尿道が狭くなるほか、精巣上体炎が起こり、不妊症の原因になる場合があります。

一方、女性は無症状のことが多いとされます。緑黄色のおりものや、尿道からの膿がみられる場合もありますが、おりものが少し増える程度という場合が少なくありません。そのため、感染に気づかずに子宮内膜炎や卵管炎、腹膜炎などの炎症が進行し、子宮外妊娠や不妊症を招くことがあります。

また、新生児に母子感染した場合には、化膿性結膜炎や関節炎を起こす恐れがあるほか、最悪の場合は命にかかわる危険もあります。

淋菌感染症は、男性ではすぐにはっきりとした症状が出るのに対し、女性は自覚症状がほとんどないことが多いという特徴があります。統計上、淋菌患者の約8割は男性が占めています。しかし、女性は自覚症状が乏しいことなどから、感染に気づかずに受診をしていないケースが多いため、統計に現れてこないのではないかと考えられています。

パートナーと一緒に受診し、治療は最後まで続けることが重要

淋菌感染症の治療には、抗菌薬(注射、内服薬)が用いられます。感染が疑われる場合は、早めに泌尿器科や婦人科を受診してください。

治療は医師の指示に従って、原因菌(淋菌)が確認できなくなるまで続ける必要があります。治療を途中でやめてしまうと、症状が治まったとしても原因菌が残っている可能性があり、完全には治らずに再発や周囲への感染などを招く危険があるからです。また、近年、淋菌では抗菌薬がほとんど効かない耐性菌の増加が問題になっていますが、治療の中断は耐性菌を発生しやすくします

淋菌感染症は免疫ができないため、いったん治っても繰り返し感染する可能性があります。そのため、パートナーも一緒に検査を受け、必要な治療を受けることや、一緒に感染予防を心がけることが重要です。

また、多くの性感染症と同様に、淋菌感染症もコンドームを正しく使うことにより、感染リスクを低減させることができます。病気に対する正しい知識を持ち、パートナーとも十分に話し合って、感染予防に努めましょう。感染の不安がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。

(家庭の医学大全科ウェブサイト 編集部)