お年寄りの病気

関節リウマチ

かんせつりうまち
Rheumatoid arthritis

分類:お年寄りの病気 > 感染症・免疫・膠原病

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高齢者での特殊事情

 一般に女性に多いのですが、高齢者では性差は縮まります。高齢者では一般に疾患活動性に対する予後がよい、リウマチ因子陽性率が低い、リウマチ性多発筋痛症のような発症をみることがある、などの特徴があります。これとは別に、高齢者における関節リウマチ(RA)の病像には罹病期間の長さを反映していることがあり、この場合には、関節の変化、骨粗鬆症が高度で、長期の薬物療法の結果としての臓器障害の合併も多くみられます。

 関節リウマチとしての経過が長い例で、時に発熱や体重減少などの全身症状が強く、多発性神経炎、胸膜炎・心膜炎、心筋炎、間質性肺炎などを起こして、予後不良となる場合があります(悪性関節リウマチまたはリウマチ性血管炎)。

治療とケアのポイント

 高齢者の関節リウマチの治療には、以下のような特徴、注意点があります。

①高齢発症の関節リウマチでは、病初期における疾患活動性が高い場合でも、疾患の予後は比較的良好で、治療により寛解する確率が高い。

②治療効果が部分寛解にとどまったとしても、経過のなかで関節機能障害によって日常生活動作の大きな低下を来すに至るのは、一般に発症してから10年前後なので、治療にあたっては患者さんの平均余命を考慮する必要がある。

③長期の罹病をへて高齢に至った患者さんの場合、すでにさまざまな治療が試みられており、高い活動性が持続している場合でも、新たな治療で大きな効果を期待することはできない。

④薬剤の副作用発現の危険性が高いことなどを念頭に置いて薬剤を選択する。

⑤高齢者ではとくに骨粗鬆症の予防・治療に留意する。

(椙山女学園大学生活科学部長 内藤通孝)