インフルエンザ治療薬とはどんな薬?
インフルエンザ治療薬とはどんな薬?
2018.12.10広告
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毎年、冬になると流行するインフルエンザは、日本では毎年約1,000万人、およそ10人に1人が感染するといわれています。治療薬も進歩を続け、2018年3月には、新しい抗インフルエンザウイルス薬も登場しました。抗インフルエンザウイルス薬の種類やそれぞれの特徴について、基本的な知識を身につけておきましょう。
十分な効果を得るためには、発症後48時間以内に薬を使用する
インフルエンザにかかったときは、自宅で安静にすることが療養の基本です。しかし、受診の際に医師が必要と判断した場合は、抗インフルエンザウイルス薬が処方されます。
抗インフルエンザウイルス薬は、ウイルスを殺すのではなく、体の中でウイルスが増殖するのを抑える作用がある薬です。それにより、病気の期間を短縮したり、症状の重症化を防いだりする効果が期待できます。
ただし、インフルエンザ発症後できるだけ早くに、遅くとも48時間以内に使用する必要があります。なぜなら、ウイルスの増殖は発症から約48時間でピークに達するため、それを過ぎると薬の効果が期待できなくなってしまうからです。
なお、インフルエンザにかかると重症化の恐れがある高齢者、慢性の呼吸疾患や心臓病などの持病がある人などでは、発症を防ぐ目的で、抗インフルエンザウイルス薬が予防的に使用(予防投与)されることもあります。
1回の使用で効果を発揮する抗インフルエンザウイルス薬もある
抗インフルエンザウイルス薬にはいろいろな種類があり、用法なども異なります。医師の指示に従って、正しく服用してください。現在、日本で使われている抗インフルエンザウイルス薬は、次のとおりです。
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オセルタミビルリン酸塩(商品名:タミフル等)…経口薬:1日2回、5日間服用。子ども用としてシロップ剤あり
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ザナミビル水和物(商品名:リレンザ)…吸入薬:専用の吸入器を用いて1日2回、5日間吸入
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ペラミビル水和物(商品名:ラピアクタ)…点滴薬:1回点滴(通常は入院治療時に使用)
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ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(商品名:イナビル)…吸入薬:専用の吸入器を用いて1回吸入
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バロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ)…経口薬:1回服用
※2018年9月にタミフル後発薬(ジェネリック)が発売されました。
※ゾフルーザは2018年3月に発売された新しい薬です。
※A型インフルエンザにのみ有効なアマンタジン塩酸塩(商品名:シンメトレル等)は、ほとんどのインフルエンザウイルスが耐性を獲得しているため、現在は使用が推奨されていません。
小児や未成年者は、異常行動による事故に要注意
小児や未成年者がインフルエンザにかかったときに、急に走り出す、部屋から飛び出す、などの異常行動が報告されています。
抗インフルエンザウイルス薬のタミフル服用後にこのような異常行動みられ、ベランダから転落する事故なども報告されたため、2007年から10代へのタミフルの投与は原則中止され、因果関係についての調査が行われていました。その結果、厚生労働省の専門家会議は、タミフルと異常行動との因果関係は明確ではないと判断し、2018年8月21日に10代へのタミフルの投与を再び認可しています。また、調査結果からは、抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無や、服用した薬の種類にかかわらず、異常行動が現れていることも報告されています。
そのほかにも、幼児を中心とした小児では、急激に悪化し命にかかわる危険が高いインフルエンザ脳症の増加がみられています。そのため、とくに小児や未成年者では、治療開始後少なくとも2日間は患者を一人にしない、玄関やすべての部屋の施錠を確実に行う、ベランダに面していない部屋で寝かせるなどを徹底して、転落等の事故防止や症状の急変に注意する必要があります。