知らぬ間に忍び寄る透析の危機─慢性腎臓病(CKD)
知らぬ間に忍び寄る透析の危機─慢性腎臓病(CKD)
2019.10.23広告
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慢性腎臓病(CKD)の患者数は年々増加し、日本人では8人に1人が発症していると推計されています。進行すると透析療法が必要になる場合もあり、最悪の場合は命に関わる危険もあるため、予防と早期発見・治療に努めることが大切です。
血液をろ過する機能が障害される
慢性腎臓病(以下CKD)とは、なんらかの原因で慢性的に腎臓の働きが低下していく病気の総称です。糖尿病性腎症、腎硬化症、慢性糸球体腎炎などが含まれます。
腎臓には、糸球体(毛細血管が毛糸玉のようにからまったもの)と呼ばれる組織があり、ここで血液をろ過して老廃物を取り除き、血液をきれいにするとともに、不要なものを尿として体外に排出しています。
ところが、糸球体が傷ついたり壊れたりすると、このろ過機能が正常に働かなくなります。すると、血液は老廃物を含んだまま再び全身を巡ることとなり、その一方で、からだに必要なたんぱく質などが尿の中にもれ出てしまいます。つまり、からだにとって有害なものが排出されずにたまっていき、逆に、必要な成分が失われてしまうというわけです。
初期では自覚症状がなく、気づきにくい
CKDの原因となる病気には、腎炎や多発性嚢胞腎(のうほうじん)があります。また、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病も、動脈硬化を促進して糸球体を傷つけるため、CKDの発症や悪化の原因となります。
CKDを放置すれば、やがて腎不全となります。体内に有害物質がたまってさまざまな症状や合併症が現れ、透析療法や腎移植が必要となります。
CKDが問題なのは、初期段階では自覚症状がほとんどないこと。むくみやだるさ、夜間多尿などの症状は、病状がかなり進行してからようやく現れるため、自分では気づかないまま発症しているケースが少なくありません。そのため、定期的に健診を受けて、早期発見に努めることが重要です。
尿と血液の検査で腎臓の状態をチェック
CKDの早期発見には、定期的に健診で尿検査と血糖値検査、血圧測定などを受けることが大切です。尿検査では、尿の中にたんぱくが出ているかどうかを調べます。
また、健診結果から医師が必要と認めた人は、血液検査で「血清クレアチニン値」を調べます。クレアチニンは老廃物の一種で、腎臓の働きが低下すると、血液中の濃度が高くなります。この血清クレアチニン値をもとに、eGFR(推算糸球体ろ過量)を計算し、腎機能を判定します。
さらに、糖尿病の人は、たんぱく質の一種のアルブミンを検出する尿中微量アルブミン検査を3カ月に1回程度受ける必要があります。
CKDは早期に治療を開始すれば、腎機能の低下を防ぐことが可能です。定期健診で早期発見に努めると同時に、生活習慣を改善して、予防に努めましょう。