目で確認できるはずの皮膚がん…なぜ手遅れになりがちに?
目で確認できるはずの皮膚がん…なぜ手遅れになりがちに?
2019.07.19広告
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皮膚がんは皮膚の表面に発生します。ところが、内臓にできるがんと違って皮膚がんは肉眼で見られるのに、早期発見の機会を逃している人が少なくありません。皮膚の異変に気づいたら、「ほくろだろう」などと自己判断で放置せずに、早めに皮膚科専門医を受診することが大切です。
早期の皮膚がんと、湿疹やほくろなどとの区別は難しい
皮膚は、最も外側にある表皮とその奥にある真皮などで構成されており、表皮は数層の細胞によって構成されています。これらの皮膚をつくっている細胞から発生するがんを、総称して皮膚がんといいます。
原因がすべて解明されているわけではありませんが、なかでも紫外線による影響が大きいとされています。また、放射線照射やウイルス感染、やけど跡などから皮膚がんが発生する場合もあります。
皮膚がんは体の表面にできるので、肉眼で確認することができます。しかし、早期には湿疹やほくろなどのありふれた皮膚症状との区別が難しく、早期発見の機会を逃してしまうケースが少なくありません。早期の皮膚がんであれば、適切な治療で完治も期待できます。日本人には皮膚がんはそれほど多くありませんが、気になる症状がみられたら、放置せずに皮膚科専門医を受診してください。
進行してから初めて気づくケースが少なくない
皮膚がんには多くの種類があります。以下に、主な皮膚がんを紹介します。
基底細胞がん
日本人に最も多くみられる皮膚がんです。発生には紫外線が影響していると考えられており、とくに高齢者の顔面に多くみられます。基底細胞がんは黒色あるいは黒褐色で、光沢のある硬い腫瘤ができ、周囲の組織を破壊しながら進行します。
有棘(ゆうきょく)細胞がん
基底細胞がんに次いで日本人に多い皮膚がんで、発生には紫外線が影響しているといわれます。皮膚の表面がカサカサしてかさぶたができる「日光角化症」は、有棘細胞がんの前がん病変であるとされており要注意です。症状としては、頭皮や顔面などにびらんや潰瘍、紅色で出血しやすい結節などができるのが特徴です。
パジェット病
汗をつくる部位の細胞ががん化して、表皮内にできるのが「パジェット病」です。乳頭や乳輪にできる乳房パジェット病と、陰部やわきなどにできる乳房外パジェット病とがあります。このうち乳房パジェット病は乳がんと同様に扱われます。
乳房外パジェット病は外陰部や肛門周囲、わきの下などに、赤~赤褐色のびらんなどができ、進行すると結節や腫瘤ができます。見た目から湿疹やいんきんたむしなどと勘違いされやすく、皮膚がんだと気づいたときには、すでにがんが進行していた、というケースが少なくありません。
悪性黒色腫(メラノーマ)
皮膚がんのなかでも悪性度が高く、進行すると命にかかわる危険度も高いといわれています。悪性黒色腫はメラニン色素をつくり出す細胞ががん化したもので、全身どこにでも発生する可能性があります。白人に多いのですが、日本人でも10万人に1~2人の割合で発生しています。
見た目は黒っぽいまだら状で、早期にはほくろやしみとの見分けが非常に難しいといわれています。しかし、ほくろとは違って、病変部が次第に大きくなる、形が左右非対称、色に濃淡がある、正常な皮膚との境界がはっきりしない、といった場合は悪性黒色腫が疑われます。
これら皮膚がんの治療は、「手術で切除」が基本です。また、手術後や手術が難しいケースなどに、放射線治療や化学療法が行われることもあります。皮膚がんのなかでも悪性黒色腫については、近年、効果の高い新薬が登場しており、生存率の向上が期待されています。