50歳以上、過労ぎみの人は、痛くてつらい帯状疱疹に要注意

50歳以上、過労ぎみの人は、痛くてつらい帯状疱疹に要注意

50歳以上、過労ぎみの人は、痛くてつらい帯状疱疹に要注意

2019.01.28

広告

広告

体の左右どちらかの片側に帯状に赤い発疹や水ぶくれができ、強い痛みを伴う「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」。患者数は50歳以降に急増します。ただし、加齢だけでなく、過労やストレスが引き金となって発症することもあるので、若い人でも注意が必要です。

過去に水ぼうそうにかかった人は、帯状疱疹の危険あり

帯状疱疹の原因となるのは水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスで、水ぼうそうの原因ウイルスでもあります。子どものころなど、過去に水ぼうそうになったことがある人なら、誰でも帯状疱疹を発症する可能性があります。

水痘・帯状疱疹ウイルスは、初めて感染したときには水ぼうそうを引き起こしますが、治ったあともウイルスは死滅せずに神経節に潜み続けます。そして、免疫力の低下をきっかけに、潜んでいたウイルスが活性化して増殖すると、神経を通って移動し、体の表面に達して皮膚に発疹や水ぶくれができます。

加齢による免疫力低下に伴い、50歳以上で患者数の急増がみられます。また、糖尿病などの病気、ストレス、過労なども免疫力低下の要因となるため、水ぼうそうにかかったことがあれば若い人でも帯状疱疹に注意が必要です。

発疹が出てから72時間以内に治療を開始することが重要

帯状疱疹の前兆は、体の左右どちらかの片側に起こる神経痛のような痛みです。痛み方は「ピリピリ」とか「チクチク」と表現されますが、感じ方には個人差があります。この痛みは、ウイルスが移動中に神経やその周囲の細胞を傷つけることで起こるといわれています。痛みが起こった数日から1週間後には、痛んだ部位に帯状に赤い発疹があらわれます。その後、発疹の上に水ぶくれができ、それが破れて化膿したあとはかさぶたになって治っていきます。

治療には、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬が使われます。早期に治療を始めれば、発疹があらわれてから7~10日ほどで完治しますが、自然治癒の場合は症状が治まるまで3週間ほどかかります。帯状疱疹を重症化させないためには、早期に集中的に治療することが肝心です。発疹が出てから72時間以内に抗ウイルス薬を使用することで、症状の軽減や後遺症の発症を抑えることができるといわれています。

重症化すると合併症・後遺症の恐れも

帯状疱疹が重症化すると、発熱や頭痛に加えて、発疹が広範囲に広がって痕が残ったり、神経が傷ついたりして、さまざまな合併症や後遺症が残る恐れがあります。

なかでも、顔から首にかけての三叉神経の領域にできた帯状疱疹では、角膜炎などによる視力低下や失明、難聴、味覚障害、顔面麻痺といった障害が起こることがあり大変危険です。また、運動神経が傷ついた場合は、運動障害が残ることがあります。ほかにも、皮膚症状が治ったあとも、非常に強い痛みが残ることがあります。これは、「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれる後遺症で、痛みが数年から10年以上も続く場合があります。

帯状疱疹の予防にはワクチンが有効

帯状疱疹は、ワクチン接種によって予防も可能といわれています。使用するのは水ぼうそう予防のための水痘ワクチンですが、帯状疱疹予防にも効果があることが認められており、50歳以上の人は任意接種として受けることでできます。

現在、水痘ワクチンは1~3歳未満を対象に定期接種が行われていますが、それ以外の人は任意接種なので費用は自己負担になります。ただし、リウマチなどの免疫不全疾患や糖尿病などにかかっている人、ステロイド薬や抗がん薬などを使用している人などは接種ができません。帯状疱疹予防のための接種を希望する人は、まずは主治医に相談してみるとよいでしょう。

(家庭の医学大全科ウェブサイト 編集部)