感染症

水痘(みずぼうそう)

すいとう(みずぼうそう)
Chickenpox

初診に適した診療科目:小児科 皮膚科 内科

分類:感染症 > 細菌・ウイルスなどによる感染症/全身性、その他

広告

広告

どんな感染症か

 ヒトヘルペスウイルス科に属する水痘‐帯状疱疹ウイルスの初感染によって起こります。全身に水疱が現れ、水疱がすべて痂皮(かさぶた)になるまでまわりの人に感染します。感染力は極めて強く、予防には水痘ワクチン、発症した場合の治療にはアシクロビル(ゾビラックス)や塩酸バラシクロビル(バルトレックス)の内服、重症例には注射による投与が行われます。

 ウイルスは通常気道粘膜から侵入し、鼻や咽頭(のど)、リンパ節で増えたのち、4〜6日経過すると血液中でウイルスが増えます。その後全身でウイルスが増え、約2週間の潜伏期を経て水痘として発症します。

 水痘が治ったあとはウイルスが知覚神経節に潜伏感染し、免疫低下時あるいは高齢になってから、帯状疱疹として発症することがあります。

症状の現れ方

 約2週間(10〜21日)の潜伏期ののち、丘疹性の水疱が全身に現れます。発疹はかゆみを伴い、紅斑、丘疹を経て短時間で水疱となり、かさぶた(痂皮)となります。発疹は頭髪のある部分、次いで体幹、四肢に現れますが、体幹に最も多く出現します。急性期には紅斑、丘疹、水疱、痂皮が混在することが特徴です。

 経過は一般的に軽症ですが、合併症として皮膚の二次性細菌感染、肺炎、無菌性髄膜炎、脳炎などがあり、免疫が低下している人がかかると命に関わる場合があります。

検査と診断

 通常は特徴的な症状から診断されることがほとんどです。急性期と回復期で血液中のIgG抗体の有意な上昇を確認するか、急性期にIgM抗体を検出することで診断されることもあります。

 水疱内容からのウイルス分離、PCR法による水痘‐帯状疱疹ウイルスDNAの検出、水疱擦過物の染色標本で水痘‐帯状疱疹ウイルスに対するモノクローナル抗体を用いた蛍光抗体法などでウイルスの存在が確認できます。また、水痘皮内抗原を用いた皮内テストでは、水痘‐帯状疱疹ウイルスに対する細胞性免疫の有無を、24〜48時間で検査することが可能です。

治療の方法

 通常、フェノール・亜鉛華リニメント(カチリ)などを水疱に塗ります。抗ウイルス薬としてアシクロビルやバラシクロビルがあり、内服で症状を軽くすることができます。細菌の二次感染を起こした場合には抗菌薬の塗布、内服などが行われます。

 予防法は感染源の人との接触をさけることと、水痘ワクチンを接種することです。水痘ワクチンは接種を受けても10〜20%程度は水痘の患者さんと接触した場合に発症することがありますが、この場合の水痘は極めて軽症で発疹の数も少なく、非典型的であることが多いようです。2回の接種を受けておけば、より確実に予防できます。

 水痘の患者さんと接触した場合はできるだけ早く、少なくとも72時間以内に水痘ワクチンを緊急接種することで、発症の防止、症状の軽症化が期待できます。

病気に気づいたらどうする

 かかりつけの小児科、成人の場合は内科あるいは皮膚科を受診してください。感染力が極めて強く、すべての発疹がかさぶたとなるまで感染力があるので、学校保健安全法では第二種の感染症に属し、すべての発疹が痂皮化するまで登校・登園停止となっています。

(国立感染症研究所感染症情報センター第三室長 多屋馨子)