小さな蚊が運ぶ感染症─予防対策を万全に
小さな蚊が運ぶ感染症─予防対策を万全に
2018.08.13広告
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2014年に日本でも流行したデング熱は、蚊に刺されることで起こる感染症です。また、デング熱以外にも蚊が媒体する感染症はいくつかあり、なかには重症化するものもあります。大事に至らないように、万全の対策をとっておきましょう。
日本でも蚊が媒介する感染症が流行する恐れがある
蚊が媒介する感染症は、主に熱帯・亜熱帯地域で流行がみられます。国内で発症が報告されているのは、日本脳炎、マラリア、デング熱、チクングニア熱、ジカ熱など。日本脳炎以外は海外で感染して国内で発症する輸入感染ですが、デング熱は2014年に国内感染例が報告されて大きな話題となりました。
近年の気候温暖化によって、病原体を媒介する蚊の生息数や生息域の増加と、それによる感染拡大が懸念されています。実はマラリアやデング熱は、過去に日本でも流行したことがあります。マラリアやデング熱の病原体を媒介する種類の蚊は、現在も国内に生息しているので、環境の変化によっては、これらの感染症が再流行する恐れがあるといわれています。
妊婦と妊娠の可能性のある人はとくに「ジカ熱」に注意を
それぞれの感染症の主な症状は、次のとおりです。
- 日本脳炎
突然の高熱、頭痛、嘔吐などで発症し、やがてけいれんや麻痺、意識障害などの神経系障害があらわれます。症状があらわれた時点で、すでにウイルスが脳の細胞を破壊しているため死に至る割合が高く、治ったとしても多くは後遺症が残ります。 - マラリア
熱帯熱、三日熱、四日熱、卵形の4タイプがあります。突然の高熱に悪寒、戦慄(震え)を伴った熱発作で発症し、いったん熱が下がってはまた熱発作が起こる、というのを繰り返すことが特徴です。熱帯熱では重症化して、命にかかわることがあります。 - デング熱
急な高熱で始まり、頭痛、関節痛、吐き気・嘔吐がみられます。解熱時期に体幹から末端にかけて、紅い発疹があらわれるのが特徴です。まれに重症化して出血を伴うデング出血熱などを発症し、死に至る危険もあります。 - チクングニア熱
デング熱と症状が似ていますが、関節痛が強いのが特徴で、関節の炎症や腫れが数週間続く場合があります。 - ジカ熱
発症すると軽度の発熱、頭痛、関節痛、結膜炎、発疹などがあらわれます。しかし、感染しても症状がないか軽いため、感染に気づかない人も少なくないといわれます。留意すべきなのは、妊婦が感染すると、胎児に小頭症などの先天性障害が起こる危険があることです。妊婦や妊娠の可能性のある人は、流行地への渡航を控えてください。
感染予防のためには蚊を寄せつけないこと
日本脳炎には感染予防に有効なワクチンが、マラリアにも有効な治療薬がありますが、蚊が媒介するそのほかの感染症には有効な薬がないものが多くあります。そのため、感染しないように予防をすることが重要になります。予防対策のポイントは、「蚊に刺されない」「蚊を増やさない」の2つです。
蚊に刺されないようにするには
蚊の多い場所では長袖、長ズボンを着用して、できるだけ肌の露出を控えること。靴下を着用して足を覆う靴を履き、首にはスカーフやタオルを巻きましょう。さらに、虫よけスプレーを使うと効果的です。
蚊を増やさないようにするには
蚊が好む環境をつくらないことが重要です。蚊は狭い水たまりに産卵する習性があるので、そのような場所をつくらないように定期的にチェックしましょう。植木鉢の受け皿、じょうろ、古タイヤ、空き缶や空のペットボトル、バケツ、屋外に放置された子どものおもちゃ、詰まった排水溝などは要注意。
また、茂っている風通しの悪い草むらなどは、蚊が潜む場所になるので、こまめに草刈りをすることも大切です。