まぶたが下がってものが見えにくくなる「眼瞼下垂」

まぶたが下がってものが見えにくくなる「眼瞼下垂」

まぶたが下がってものが見えにくくなる「眼瞼下垂」

2023.12.01

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いつの間にかまぶたが下がってきて、ものが見えにくいという場合、「眼瞼下垂(がんけんかすい)」かもしれません。症状が強く、日常生活に支障が出ている場合は、早めに眼科を受診しましょう。

見えにくさのほか、肩こりや頭痛なども起こる

眼瞼下垂とは、上まぶたが通常の位置より下がり、視界が狭くなって見えにくくなる病気です。無意識におでこの筋肉を利用してまぶたを引き上げようとするため、目の疲れや目のまわりの痛み、首や肩のこり、頭痛などの症状を伴います。

筋肉が働かなくなり、まぶたを持ち上げられなくなる

眼瞼下垂には先天性と後天性があり、先天性眼瞼下垂は、まぶたを上げる筋肉が生まれつき十分に働かないために起こります。

一方、後天性眼瞼下垂で最も多い原因は、加齢によるものです。上まぶたには、まぶたを上げる上眼瞼挙筋という筋肉と、まぶたの裏にある瞼板という軟骨組織、その両者を接合する挙筋腱膜があり、これらが協調して働くことにより、上まぶたが上がります。ところが、加齢によって挙筋腱膜が伸びたり、瞼板との結合が緩んだり、上眼瞼挙筋の働きが弱くなったりすると、上まぶたを十分に持ち上げられなくなり、眼瞼下垂が起こります。

眼瞼下垂は加齢のほか、白内障などの目の手術を受けたあとにみられることもあります。また、コンタクトレンズ(特にハードコンタクトレンズ)の使用で生じることもあり、その場合は20代でも起こることがあります。

原因や症状によって治療法を選択する

眼瞼下垂を診断する際は、視力検査や眼圧検査、眼底検査、視野検査などを行うほか、上まぶたの縁が黒目にかかっていないか、おでこにしわが寄っていないか、眉毛の位置が上がっていないかなどを確認します。

眼瞼下垂と診断され、見えにくさや目の疲れなどの症状が強く、日常生活に支障をきたしている場合は、手術がすすめられます。

手術は主に2種類あり、1つは「挙筋短縮術」という方法です。上まぶたの皮膚を切開し、伸びて弱くなってしまった挙筋腱膜を短くして、再び瞼板に縫い付けるものです。

まぶたを上げる筋肉が正常に働かない場合は、「前頭筋つり上げ術」を行います。眉毛の上と上まぶたの2カ所を切開し、そこに人工素材を入れて、おでこの筋肉と瞼板をつなぎます。これによって、おでこの筋肉を使って上まぶたを上げられるようにします。

ほかにも、上まぶたの皮膚がたるんでいる場合は、目のまわりの脂肪やまぶたのたるみを除去する手術が行われることもあります。

いずれの手術も局所麻酔で、通常は外来で行うことができます。手術で眼瞼下垂が解消されると、多くの場合、目の疲れや肩こり、頭痛といった症状も改善します。

なお、ごくまれではありますが、脳梗塞などによる神経の異常で眼瞼下垂が起こる場合があります。ある日突然、眼瞼下垂の症状がみられた場合は、速やかに脳神経外科や神経内科を受診しましょう。

(家庭の医学大全科ウェブサイト 編集部)