けいれんなどの発作が繰り返し起こる「てんかん」
けいれんなどの発作が繰り返し起こる「てんかん」
2023.11.06広告
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てんかんは子どもの病気と思われがちですが、大人でもかかる可能性のある脳の病気です。本人だけでなく、周囲の人々もてんかんについて正しい知識をもち、適切に対応することが大切です。
特に子どもと高齢者に多い
てんかんとは、脳の神経細胞の活動が乱れて、発作が繰り返し起こる病気です。脳の大脳皮質では、約150億個もの神経細胞が電気信号を使って情報伝達を行っています。ところが、何らかの原因により異常な電流が流れると、脳が過剰に興奮し、「てんかん発作」を引き起こします。
てんかんの原因はさまざまですが、出生時の低酸素脳症、脳の先天性形成異常、頭部外傷、脳卒中、脳腫瘍、脳炎など脳の病変が明らかな「症候性てんかん」と、異常などはなく原因が不明(一部遺伝的要素を含む)な「特発性てんかん」に分けられます。
てんかんは、乳幼児から高齢者までどの年代でも発症しますが、特に子どもと高齢者に多くみられます。患者数は1000人に5~8人の割合といわれており、けっして珍しい病気ではありません。
発作の起こり方はさまざま
てんかん発作の症状は、脳のどの範囲で異常な電気活動が起こるかにより、症状の現れ方が異なります。脳の一部で起こる「部分(焦点)発作」では、手足がひきつる、首や目が勝手に動く、光が見える、音が聞こえる、手がしびれる、吐き気や頭痛が起こるなどの症状が現れます。なかには、発作が起こる前に決まって何かのにおいを感じるなど、これから発作が起こるとわかる人もいます。この前触れとして起こる症状を「前兆」といいます。
一方、脳全体で起こる「全般発作」では、突然体がピクンと動く、全身がけいれんする、全身が脱力する、意識を失うなどの症状がみられます。
てんかん発作は、多くの場合、数秒から数分間でおさまりますが、時に数時間以上続く場合もあります。
周りの人も発作時の対処法を知っておくことが大切
てんかんの診断にあたっては、脳波検査や画像検査を行います。脳波検査では、検査を繰り返したり睡眠時も検査したりして、脳の異常な興奮を示す脳波の有無を調べます。画像検査では、CT検査やMRI検査により、脳の傷や形成不全などの異常の有無、てんかん発作につながる脳の領域などを調べます。
てんかんの治療では、抗てんかん薬による薬物療法が基本です。抗てんかん薬は、てんかん発作を起こりにくくする作用があり、発作の種類や年齢などによって使用する抗てんかん薬が異なります。薬を自己判断でやめずに毎日飲み続けること、また、十分な睡眠をとることがてんかん発作を防ぐためには大切です。抗てんかん薬を一定期間服用しても発作が抑えられない場合は、手術が検討されます。
てんかんは、周囲の人のサポートも大切です。近くにいる人がてんかん発作を起こしたときのために、対処法を知っておきましょう。発作が起こったら、まずは身の回りの安全を確保し、嘔吐したときにのどが詰まらないよう横向きに寝かせます。発作の様子や持続時間を観察・記録することも重要です。もし、全身のけいれん発作が5分以上続くようであれば、迷わず救急車を呼びましょう。5分以内に治まっても、心配な場合は医療機関を受診しましょう。