原因不明の全身の痛みを伴う「線維筋痛症」とは?

原因不明の全身の痛みを伴う「線維筋痛症」とは?

原因不明の全身の痛みを伴う「線維筋痛症」とは?

2022.07.15

広告

広告

「線維筋痛症」は、長期にわたって、全身や体の広範囲に痛みが生じる病気です。命に関わる病気ではないものの、特効薬はまだなく、日常生活に支障をきたすことが少なくありません。線維筋痛症が疑われる場合は、正しい診断を受け、前向きに治療に取り組むことが大切です。

痛み以外にも多様な症状を伴う

線維筋痛症の特徴的な症状は、全身、あるいは体の広範囲に持続的に痛みが生じることです。耐え難いほど強い痛みであることが多いですが、痛みが軽度の場合もあります。また、痛む部位や強さは日によって、あるいは1日のうちでも時間帯によって変化するなど、不規則であることも特徴です。

こうした痛み以外にも、強い倦怠感、疲労感、体のこわばり、しびれ、頭痛、関節痛、睡眠障害、抑うつ、過敏性腸症候群、ドライアイなど、多様な症状を伴うケースも少なくありません。

また、線維筋痛症は男性よりも女性に多く、年代としては中高年に多く発症する傾向がみられます。

広範囲の痛みが3カ月以上続いている場合は要注意

線維筋痛症の原因はまだはっきりと解明されていませんが、痛みを脳に伝える神経やその回路の機能異常によるものではないかと考えられています。通常、痛みを感じてその信号が脳に伝わると、脳からは複数の神経伝達物質が分泌され、痛みが抑えられます。

しかし、線維筋痛症では、痛みの刺激がないときでも痛みの神経が過剰に興奮した状態となり、さらに痛みを抑える仕組みもうまく働かなくなります。つまり、ブレーキのきかない車のように、痛みの神経が暴走した状態となっているのです。

線維筋痛症は、一般的な検査をしても特徴的な異常は認められないことから、症状や経過をもとに、アメリカリウマチ学会の診断基準を用いて診断されます。いくつかある診断基準の1つが1990年基準で、全身にある18カ所の圧痛点を4㎏の力で押して、11カ所以上に痛みがあり、なおかつ広範囲の痛みが3カ月以上続いている場合、線維筋痛症と診断されます。

薬で痛みを抑えるとともに、運動なども取り入れることが大切

線維筋痛症に対する特効薬はまだなく、完治は難しいため、薬により痛みを抑える治療が基本となります。痛みを伝える神経伝達物質の量を減らす薬や、痛みを抑制する経路に作用する薬のほか、抗うつ薬や鎮痛薬などを用いる場合もあります。

薬物療法に加え、運動療法(ウォーキング、ヨガ、太極拳など)、マッサージ、認知行動療法などを並行して行うと治療効果が高まるとされています。また、ストレスは症状を悪化させる要因となるため、ストレスを上手に解消することも大切です。

(家庭の医学大全科ウェブサイト 編集部)