その足のしびれは腰が原因かも「腰部脊柱管狭窄症」

その足のしびれは腰が原因かも「腰部脊柱管狭窄症」

その足のしびれは腰が原因かも「腰部脊柱管狭窄症」

2022.06.03

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足の痛みやしびれは、足そのものではなく、腰が原因でおこる場合があります。その代表ともいえる病気が、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)です。進行すると治療も困難になるため、早めに適切な治療を受けることが大切です。

神経の通り道が狭くなり、圧迫されることが原因

腰部脊柱管狭窄症は、神経が圧迫されることにより、足にしびれや痛みなどの症状が現れる病気です。

背骨の中央には、脊柱管と呼ばれるトンネル状の空間があり、この中を神経の束が通っています。加齢などにより背骨が変形したり、靭帯(じんたい)が厚くなったり、骨と骨の間のクッションである椎間板(ついかんばん)が膨らんだりすると、脊柱管の内腔が狭くなり、そこを通る神経が圧迫されます。脊柱管を通る神経は足につながっているため、足にしびれや痛みなどの症状がおこります。これが腰部脊柱管狭窄症です。

5つある腰椎(腰の骨)のうち、上側で神経が圧迫されると太ももに症状が現れ、下側で圧迫されるとひざから下に症状が現れます。

少し休むと楽になるが、再び歩き始めるとまた症状が現れる

腰部脊柱管狭窄症では、しばらく歩いたり、ずっと立っていたりするとしびれや痛みが現れ、少し休むと症状が治まり、再び歩き始めるとまた症状が現れるのが特徴です。これを「間欠跛行(かんけつはこう)」といいます。神経が圧迫される部位により、左右どちらか片側だけに症状が現れることもあれば、両側に現れることもあります。

背中を反らせると痛みやしびれが出たり、背伸びができなかったりといった場合も腰部脊柱管狭窄症の可能性があります。

腰部脊柱管狭窄症が進行すると、足に力が入らなくなったり、長い距離を歩けなくなったりすることがあります。また、脊柱管を通る神経は、膀胱の機能を調節する働きもあるため、排尿障害や排便障害が現れる場合もあり、注意が必要です。

薬と運動による保存療法が基本

腰部脊柱管狭窄症は、X線検査やMRI検査、脊髄造影検査などで診断がつきます。治療法としては、薬物療法と運動療法が基本となります。

薬物療法では、鎮痛薬によって症状を緩和するほか、神経の周囲の血流を改善する血管拡張薬、神経を保護するビタミンB12製剤を用いることもあります。痛みがひどい場合は、局所麻酔薬を注射して痛みを遮断する神経ブロック療法が行われる場合があります。

運動療法では、神経への圧迫をゆるめるストレッチや、背筋を鍛える体操などを行います。これらの治療法で効果がみられなかったり、日常生活に支障が出ていたりする場合は、手術を検討します。

気になる症状がある場合は放置せず、早めに整形外科を受診しましょう。

(家庭の医学大全科ウェブサイト 編集部)