男性がかかるがんの第1位──前立腺がん

男性がかかるがんの第1位──前立腺がん

男性がかかるがんの第1位──前立腺がん

2021.09.17

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近年、日本における前立腺がんの罹患数は増加しており、2017年の統計では男性がかかるがんの第1位となっています。初期にはほとんど自覚症状がありませんが、PSA検査という血液検査で早期発見が可能なので、50歳になったら定期的に検査を受けることが大切です。

50歳代から急増し、高齢になるほど高リスク

前立腺は、男性の膀胱のすぐ下にあり、尿道を取り囲んでいる栗の実のような大きさと形をした臓器です。精液の成分を分泌する、尿や精液の排出を調整するなどの働きをしています。

前立腺がんは50歳代から急速に増え始め、高齢になるほど発生のリスクが高くなります。前立腺がんの発生には、男性ホルモンのバランスの乱れ、前立腺の慢性的炎症のほか、食生活や生活習慣などが関わっていると考えられています。

進行すると転移しやすく、治療も困難に

前立腺がんは、尿道や膀胱から離れた場所に発生することが多く、初期には自覚症状がほとんどありません。やがてがんが大きくなると、尿道を圧迫するため、尿の出方に勢いがない、排尿に時間がかかる、残尿感などの症状が現れます。これらは、中高年の男性に多くみられる前立腺肥大症の症状とよく似ているため、自覚症状だけで両者を判別することは困難です。

また、前立腺がんの多くは非常にゆっくり進行し、初期の段階で適切な治療を受けた人の10年生存率は100%となっています。一方、進行すると、周辺の臓器や離れた場所にある骨・リンパ節に転移しやすいという特徴があります。この段階になると治療が難しく、5年生存率も約50%まで下がってしまいます。そのため、早期発見に努めることが重要です。

定期的にPSA検査を受け、早期発見に努めよう

前立腺がんの早期発見に有効なのが、PSA検査です。PSAとは、前立腺でつくられるたんぱく質の一種で、前立腺に異常があると血液中にもれ出し、血中濃度が高くなります。

PSAの基準値は、50~64歳は3.0ng/mL以下、65~69歳は3.5ng/mL以下、70歳以上は4.0ng/mL以下となっており、これを超えると前立腺に異常があると考えられます。

ただし、前立腺肥大症や前立腺の炎症のほか、サイクリングや性行為などで刺激された場合にもPSA値が上昇することがあります。そのため、明らかな高値でない限りは別日にあらためてPSA検査をし、それでも基準値を超える場合は精密検査を行います。

前立腺がんは、早期に発見して治療を始めることにより、体への負担が少なくなるだけでなく、その後のQOL(生活の質)を優先した治療法を選択することができます。50歳になったら定期的にPSA検査を受け、早期発見に努めるようにしましょう。

(家庭の医学大全科ウェブサイト 編集部)