お酒を飲まない人の脂肪肝も肝がんのリスクに―増加中のNAFLD(ナッフルディー)、NASH(ナッシュ)

お酒を飲まない人の脂肪肝も肝がんのリスクに―増加中のNAFLD(ナッフルディー)、NASH(ナッシュ)

お酒を飲まない人の脂肪肝も肝がんのリスクに―増加中のNAFLD(ナッフルディー)、NASH(ナッシュ)

2019.12.23

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かつては、お酒の飲み過ぎによる脂肪肝は重篤な肝臓病を引き起こす可能性がある一方、お酒を飲まない人の脂肪肝は心配ない、といわれてきました。ところが近年、お酒を飲まない人の脂肪肝が増加しており、その一部は肝炎を引き起こし、肝硬変や肝がんに進行することがわかってきました。

悪性の脂肪肝・NASHは肝がんへの進行も

脂肪肝とは、肝臓に脂肪が過剰に蓄積した状態をいいます。食事でとった脂質は小腸で吸収された後、肝臓で中性脂肪として再合成され、エネルギー源として血液中に放出されます。この際、脂質をとり過ぎると、余った中性脂肪はそのまま肝臓に蓄積されます。また、糖質やアルコールのとり過ぎも中性脂肪がたまる原因となり、肝細胞の中の中性脂肪が30%以上になると脂肪肝と診断されます。

脂肪肝は、飲酒が関係するアルコール性脂肪肝と、飲酒が関係しない非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD、ナッフルディー)に大きく分けられます。さらに、NAFLDには、単純性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝炎(NASH、ナッシュ)があり、前者は肝臓の組織が障害されることはほぼありません。

これに対し、NAFLDの重症型といえるNASHでは、肝臓に炎症が起こり、肝細胞が繊維化して硬くなります。肝硬変や肝がんへと進行することがあり、危険な状態です。

メタボの増加とともにNAFLD、NASHも増えている

NAFLDは、食べすぎや運動不足が原因で起こります。そのため、主な原因が同じであるメタボリックシンドロームと密接に関わっており、NAFLDやNASHの人の多くが高血圧、糖尿病、脂質異常症を合併しています。メタボが増加している背景から、NAFLDやNASHも今後さらに増えていくと考えられています。

生活習慣を見直して、まずは減量を

NAFLD、NASHの予防・改善に有効なのは、そのほかの生活習慣病と同様に、食生活や運動などの生活習慣の見直しです。なかでも、肝臓の負担となる肥満を解消することが重要です。現在の体重を7%減らすと、肝機能の数値が下がり、肝臓の状態も改善するというデータもあるので、肥満している人は7%減量することを目指しましょう。減量する際は極端な食事制限をするのではなく、運動も取り入れながら、1カ月に1~2㎏減らすくらいのペースで行います。

健診で脂肪肝が疑われたら、消化器内科などの専門医を受診しましょう。NASHの発症を防ぐためには、放置をせず、早めに生活習慣の改善をスタートさせることが大切です。

(家庭の医学大全科ウェブサイト 編集部)