災害時に起こりやすい病気とその予防法は?

災害時に起こりやすい病気とその予防法は?

災害時に起こりやすい病気とその予防法は?

2019.09.09

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近年、大規模な自然災害が相次いで発生しています。被災後、避難生活が長期化すると、様々な健康被害が懸念されます。万一に備え、災害時に起こりやすい病気とその予防法について、正しい知識を身につけておきましょう。

車中で座ったまま寝るのは危険

狭い車内などで寝起きをしている場合に注意したいのが、エコノミークラス症候群です。

長時間同じ姿勢のまま脚を動かさずにいると、血行不良により、脚の静脈に血栓(血のかたまり)ができやすくなり、その血栓の一部が血管を詰まらせてしまうことがあります。これを深部静脈血栓症といいます。

飛行機の狭い座席(エコノミークラス)に長時間同じ姿勢で座っていて急に立ち上がったときになどに発生しやすいことから、エコノミークラス症候群とも呼ばれていますが、自家用車の中などでも起こりうることを覚えておきましょう。

初期症状としては、脚の痛みや赤み、むくみなどが現れます。その後、血栓が肺の血管に詰まると、「肺塞栓症」といって胸の痛み、息切れ、呼吸困難、失神などが起こり、命にかかわる危険もあります。

エコノミークラス症候群を予防するためには、定期的に体を動かすことが大切です。足の指でグー・パーをする、イスに座ったまま、かかとやつま先を上下させる、足首を回す、ふくらはぎを軽くもむ、なども有効です。また、こまめに水分をとり、体を締め付けないゆったりとした服を着るようにしましょう。

避難所では感染症に要注意

避難所での集団生活で流行しやすいのが、様々な感染症です。代表的なものとして、かぜやインフルエンザなどの呼吸器系感染症、ノロウイルスやO(オー)157などの感染性胃腸炎、傷口から感染する破傷風があげられます。

感染症を予防するには、こまめに手洗いとうがいを励行すること。断水しているときは、手指用アルコール剤やウェットティッシュ、ペットボトルや給水車の水を使いましょう。

発熱やせきなどの症状がある場合は、必ずマスクを着用します。食事はできるだけ加熱したものを食べ、缶詰などの加工食品は開封後は早めに食べましょう。

また、破傷風は傷口から菌が侵入して感染するため、けがをした場合は傷口を水や消毒薬で洗い、速やかに医療機関で手当てを受けてください。

持病のある人は服薬を継続できるような備えを

持病があり普段から薬を服用している人は、かかりつけ医に相談して、非常時の予備薬を処方してもらうとよいでしょう。

薬は、調剤薬局で渡される「お薬手帳」と一緒に保管し、非常時に持ち出せるようにしておきます。お薬手帳があると、避難所を巡回している医師などに自分の薬の情報を伝えることができます。最近では、スマートフォンのアプリなどによる電子版のお薬手帳も登場しているため、自分に合ったものを活用しましょう。

また、人工透析や在宅酸素療法などの治療を受けている人は、災害時の対処法について、主治医に相談しておくことが肝心です。

(家庭の医学大全科ウェブサイト 編集部)