子どもに多い溶連菌感染症─集団感染や合併症に注意を!

子どもに多い溶連菌感染症─集団感染や合併症に注意を!

子どもに多い溶連菌感染症─集団感染や合併症に注意を!

2019.05.10

広告

広告

溶連菌感染症は、子どもに多くみられます。抗菌薬による治療が有効ですが、きちんと治療しないと、再発や重い合併症の危険があります。そのため、感染の仕方や見逃してはいけない症状、病気の進み方などを知っておきましょう。そして、早めに受診すること、治療を最後まできちんと受けることが肝心です。

家族や集団生活内で感染が広がりやすい

溶連菌とは、正式には「溶血性連鎖球菌」という細菌でA~V群に分けられており、これが原因で起こる病気を総称して「溶連菌感染症」といいます。一般に溶連菌感染症といえば、A群溶連菌によって起こるのど風邪の「咽頭炎(いんとうえん)」を指します。

溶連菌感染症は、4~7歳ごろの子どもに多く発症しますが、大人もかかることがあります。主な感染経路は飛沫感染と接触感染で、患者と接する機会が多いと感染が起こりやすくなります。そのため、家族内や集団生活のなかで感染が広がりやすいのが特徴です。とくに、一緒に遊んでいる兄弟姉妹間で感染しやすいので、注意が必要です。

突然の発熱とのどの強い痛み、苺舌が特徴

溶連菌に感染すると、2~5日の潜伏期間を経て、突然の発熱(38~39℃)と倦怠感、のどの強い痛みなどがあらわれます。のどの痛みは通常の風邪より強いのですが、咳や鼻水などの症状はみられません。さらに、舌に赤いツブツブができる「苺舌(いちごじた)」のほか、腹痛や嘔吐、首すじのリンパ節の腫れなどを伴うことがあります。

溶連菌感染症のひとつである「猩紅熱(しょうこうねつ)」の場合は、発熱から半日~1日たって、手足や体に小さくて紅い発疹があらわれます。

溶連菌感染症は、のどの赤みや苺舌といった典型的な症状があるので診断がつきやすいとされます。また、のどをこすった綿棒で検査する迅速診断キットも普及しているため、10分程度で確定診断が可能になっています。ただし、3歳以下の子どもや大人では、特徴的な症状があらわれることは少ないといわれています。

症状が消えても、薬は最後まで飲みきることが重要

溶連菌感染症の治療には抗菌薬が有効とされ、10~14日間薬を服用します。薬をのみ始めると2~3日で症状は治まってきますが、たとえ症状が消えても医師に指示された期間は服用を続け、最後まで飲みきることが重要です。勝手に服用を中止してしまうと、溶連菌を完全に退治することができずに、再発や合併症を招く恐れがあるからです。

重大な合併症として、心筋炎や心膜炎を引き起こす「リウマチ熱」と、血尿や尿量減少などの腎機能障害を引き起こす「急性糸球体腎炎」が挙げられます。これらの合併症は溶連菌感染症にかかったあと、1~4週間たってから発症します。しかし、適切に溶連菌感染症を治療することで予防が可能です。

(家庭の医学大全科ウェブサイト 編集部)