子どもの成長とともに変化する「アレルギーマーチ」とは?
子どもの成長とともに変化する「アレルギーマーチ」とは?
2019.02.18広告
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アレルギー疾患の多くは小児期に発症しますが、1種類だけにとどまらず、成長とともに、次々と違ったアレルギー疾患を発症することがあります。これを「アレルギーマーチ」といいます。なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?
アレルギー疾患の発症には、体質や環境、体の発達などが関係している
両親がともにアレルギー疾患を持っていると、その子どももアレルギー疾患を発症する割合が高くなることがわかっています。これは、親のアレルギー体質が遺伝することがあるためといわれています。
ただし、アレルギー体質が遺伝したからといって、必ずアレルギー疾患を発症するわけではありません。遺伝的な要因に、生活環境など外部からの要因が加わって、複雑に影響することで発症するとされています。環境的要因としては、食べ物やハウスダスト、植物、動物などのアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)への接触のほか、大気汚染や受動喫煙、気象などが挙げられます。
子どもは成長するにつれて食事の内容が変わり、行動範囲が広くなるため、接触するアレルゲンの数も、それぞれのアレルゲンに接触する機会もより多くなっていきます。また、体の免疫系や臓器の発達に応じて、影響を受けるアレルゲンは変わってきます。こうしたことから、成長とともに発症しやすいアレルギー疾患も変化していき、さまざまな症状があらわれる「アレルギーマーチ」が引き起こされると考えられます。
年齢により発症しやすいアレルギー疾患とは
年齢とともにアレルギーに関わる因子や環境は変化し、発症する症状も変わっていきます。アレルギーマーチの代表的なパターンは、次のようなものです。
●0~2歳(乳児期)
まず食物アレルギーを発症。下痢や嘔吐、腹痛などに加え、じんましんなどの症状がみられます。さらに、アトピー性皮膚炎を発症。乳児期のアトピー性皮膚炎は、アレルゲンが食べ物であることが多く、顔や頭、耳、首の付け根などに湿疹があらわれます。
●2~6歳(幼児期)
気管支喘息を発症。主なアレルゲンはダニやハウスダストで、患者の約9割が5歳くらいまでに発症しているといわれます。アトピー性皮膚炎のアレルゲンも、食べ物からダニなどへ変わってきます。
●6歳以降(学童期)
アレルギー性鼻炎を発症。屋外で活動する機会が増え、花粉やほこりなどのアレルゲンに接触しやすくなることが一因と考えられます。
治療や発症予防のためには、自己判断は禁物
このように、アレルギー疾患は次々と発症することがあります。ただし多くの子どもは、体が成長して各器官が発達し、免疫機能などが整ってくるとともに、自然に、または治療によって症状が治まるといわれています。一方で、そのまま成人のアレルギー疾患に移行したり、一度は治ったのに成人になって再発したりすることもあります。
大切なことは、早期に受診して適切な診断を受け、治療やアレルゲン対策をしっかり行い、症状をコントロールしていくことです。
そうすることにより、治る可能性が高まるだけでなく、別のアレルギー疾患の発症を防ぐことにつながります。受診せずに自己判断でケアをしたり、受診しても治療を中断したりしてはいけません。医師の指示により、適切な治療と管理を行うようにしましょう。