結核は過去の病気にあらず─1日約50人も新たな患者が発生
結核は過去の病気にあらず─1日約50人も新たな患者が発生
2018.09.27広告
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結核は、過去の病気と思われがちです。しかし国内では、今でも1日に約50人もの人が新たに結核を発病しています。患者は高齢者が多いのですが、若い人でも発病することがあります。しかも世代を問わずに感染が拡大しやすいため、十分な注意が必要です。
かぜに似た症状が2週間以上続く
結核は、結核菌が原因で起こる感染症で、主に肺に炎症が起こります。初期の症状としては、微熱、せき、痰、体のだるさ、食欲不振などがみられます。いずれもかぜの症状に似ていますが、結核の場合はこれらが2週間以上と長期間続くのが特徴です。結核が進行すると、息切れがしたり、血の混じった痰が出るほか、体重の減少などがみられます。
2017年には、国内で17,625人が新たに結核患者として登録され、1,889人が亡くなっています。つまり、1日あたり約50人が新たに結核を発病し、約5人が亡くなっていることになります(厚生労働省「平成28年結核登録者情報調査年報集計結果」)。
免疫力が低下すると発病のリスクが高くなる
結核の主な感染経路は、空気感染です。患者がせきやくしゃみをすると、結核菌の混ざったしぶきが空気中に飛び散り、それを周りの人が吸いこむことで感染が広がります。結核菌は、しぶきの水分がなくなるとそのまま空気中に漂うため、感染が拡大しやすいといわれています。
また、結核菌に感染したからといって、必ずしも結核になるわけではありません。発病するのは、感染者のうちの10~20%程度といわれています。それ以外の人は、免疫の力によって結核菌の増殖が抑えられるので発病はしません。
結核を発病する主な要因は、免疫力の低下とされています。そのため、高齢者や糖尿病患者、腎臓病で透析療法を受けている人、胃の切除手術後の人、HIV感染者・エイズ患者などは、結核を発病するリスクが高いといわれます。さらに、抗がん薬や内服のステロイド薬、抗リウマチ薬などを使っている人も、免疫力の低下により結核を発病しやすいほか、やせすぎの人や喫煙者なども、発病のハイリスク群に含まれます。
若い人も油断は禁物です。なぜなら、若年層は結核菌に対する免疫を持っていないので発病しやすく、ひとたび発病すると、集団感染につながりやすいのです。
薬は自己判断で中断せず、指示どおりに飲み続けることが肝心
結核の治療は、薬物療法が基本になります。3~4種類の抗菌薬を6~9カ月間飲み続けることで、完治させることが可能です。周囲に感染させる危険がある場合は、入院治療が必要になりますが、それ以外は通院で治療できます。
ただし、「症状がおさまった」「何種類も薬をのむのが面倒くさい」などと、勝手に薬の服用をやめてしまうことは厳禁です。完全に結核を治すことができないばかりか、結核菌が薬に対する耐性を獲得して薬が効かなくなり、治療が困難になる恐れがあります。
結核の治療には一定の期間がかかりますが、医師の指示どおりにきちんと服薬を続けることが何よりも大切です。