ストレスや緊張で発症・悪化する「過敏性腸症候群(IBS)」

ストレスや緊張で発症・悪化する「過敏性腸症候群(IBS)」

ストレスや緊張で発症・悪化する「過敏性腸症候群(IBS)」

2018.05.14

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通勤・通学の途中、あるいは緊張する場面で急におなかが痛くなったり、便意をもよおしたりする──もし、そんな症状が繰り返し起こるようなら、「過敏性腸症候群(IBS)」という病気の可能性があります。

検査で原因がわからない急な下痢や慢性的な便秘が続く

過敏性腸症候群は、血液検査や腸検査をしても異常が認められないにもかかわらず、下痢や便秘を慢性的に繰り返す病気で、日本人の約10%にみられるといわれています。主な症状は便通異常と、発作的に起こるさし込むような腹痛、あるいは持続する鈍い腹痛です。多くの場合便意を伴いますが、排便後に腹痛は軽快します。
過敏性腸症候群には、便の状態により「下痢型」、「便秘型」、「混合型」のタイプがあります。

  • 下痢型…泥または水のような便が出る。突然、便意をもよおすので外出などが難しくなる。強い便意の割には、排便量はそれほど多くないことも。
  • 便秘型…水分が少ないコロコロした便になり、排便が困難になる。
  • 混合型…下痢と便秘が交互に繰り返される。

そのほか、腹部膨満感、おなかがゴロゴロ鳴る、おならが出る、などの症状がみられることもあります。ストレスや緊張によって、発症・悪化するのが特徴です。
過敏性腸症候群の原因は明らかになっていませんが、細菌やウイルスによる感染性腸炎にかかったあとに発症しやすいことがわかっています。

まずは生活習慣を改善し、症状が治まらなければ薬物療法を

過敏性腸症候群の治療においては、まずは生活習慣の改善を行います。睡眠や休養を十分にとり、規則正しい生活を心がけて、疲労やストレスをためないことが大切です。暴飲暴食、脂っこいもの、刺激物を避け、お酒も控えましょう。また、症状のタイプにかかわらず、適度な運動や食物繊維を積極的にとることがすすめられます。
生活習慣を改善しても症状が治まらない場合には、患者それぞれの症状に合わせた薬物療法が行われます。便の水分を調整する高分子重合体、腸の動きをよくする消化管運動調節薬やセロトニン受容体拮抗薬のほか、下痢止め薬、緩下薬、漢方薬などが使われます。また、抗不安薬や抗うつ薬を使ったり、自律訓練法や認知行動療法といった心身医学的治療が行われる場合もあります。
過敏性腸症候群は命にかかわる病気ではありませんが、急な下痢や慢性的な便秘が繰り返されると、生活や仕事などにも大きく影響します。もし、外出が困難になるなど日常生活に支障が出ている場合は、「おなかが弱い体質だから…」などと放置せず、早めに消化器内科などを受診しましょう。ストレスなどの精神的な影響が大きい場合や、うつ状態・不安感などがみられる場合は、心療内科を受診することがすすめられます。

(家庭の医学大全科ウェブサイト 編集部)