脚の血管が盛り上がりこぶ状になる「下肢静脈瘤」

脚の血管が盛り上がりこぶ状になる「下肢静脈瘤」

脚の血管が盛り上がりこぶ状になる「下肢静脈瘤」

2023.11.17

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下肢静脈瘤は、血液が逆流することで脚の静脈に血液がたまり、痛みやかゆみが起こったり、脚の血管が浮かび上がったりする病気です。脚のマッサージや弾性ストッキングの着用が有効です。これらを行っても症状が改善せず、見た目も気になる場合は、手術を検討しましょう。

静脈弁が壊れて血液が逆流する

下肢静脈瘤とは、脚の静脈(血液を心臓に戻す血管)に血液がたまり、静脈が太くなってこぶのようにふくらんだり、網目状に浮かび上がったりする病気です。

脚の静脈は、心臓に血液を戻すため、重力に逆らって血液を下から上に送っています。このとき、重要な役割をするのがふくらはぎの筋肉と静脈弁です。ふくらはぎの筋肉は、収縮することによって血液を上に押し上げています。静脈弁は、血液が心臓に向かって流れるときだけ開くようになっており、これにより、血液の逆流を防いでいます。この静脈弁が壊れると、血液が逆流して静脈に血液がたまってしまいます。

弁が壊れる原因ははっきりしていませんが、長時間立ちっぱなしでいることが多い人や妊娠・出産経験のある女性、高齢者などに多くみられます。

静脈の盛り上がり方などで種類が分けられる

症状として、脚のだるさや重さ、かゆみ、痛み、むくみのほか、こむら返りや色素沈着などが起こります。また、下肢静脈瘤には4つの種類があり、ふくらはぎの静脈が浮き出て大きなこぶが目立つ「伏在型静脈瘤」、小さい木の枝のように静脈が浮き出る「側枝型静脈瘤」、静脈が青く網目状に浮かぶ「網目状静脈瘤」、静脈が赤紫色になってくもの巣のように見える「くもの巣状静脈瘤」に分けられます。

多くの場合は視診や触診で診断されますが、超音波検査でより精密に調べることもあります。超音波検査では、静脈の太さや血液の逆流の有無を確認し、どの種類の静脈瘤なのかを確認します。

一般的には命にかかわらない病気ですが、痛みやかゆみなどの症状や、見た目が気になって生活に支障が出るなどの場合は、治療を行います。

まずは生活改善や圧迫療法を行う

下肢静脈瘤と診断されたら、まずは長時間立ち続けるのを避ける、寝るときに脚を高くする、脚の筋肉を鍛える、脚のマッサージを行うなどの生活習慣の改善を行います。ほかにも、弾性ストッキングや弾性包帯を使って足を圧迫する治療法もあります(圧迫療法)。これらを行っても症状が改善しない場合、手術を検討します。手術には、血管内に細い管を入れてレーザーで静脈を焼いて閉塞させる血管内焼灼術や、静脈内にワイヤーを通して血管を引き抜くストリッピング術、注射で薬剤を注入して血管を固める硬化療法など、さまざまな方法があります。下肢静脈瘤の状態や症状にあわせて治療法を選択することが大切です。

(家庭の医学大全科ウェブサイト 編集部)