自分の意思に関係なく体が動く「チック症」
自分の意思に関係なく体が動く「チック症」
2023.09.01広告
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「チック症」は、自分の意思とは無関係に体が動いたり、声が出たりする病気です。子どものころに発症するものは、多くの場合、そのまま軽快していきますが、長期にわたって持続することもあります。
症状は多岐にわたる
チックとは、本人の意思とは関係なく、突発的に素早く体が動いたり、声が出たりする症状のことで、チックが継続するものをチック症といいます。
チックは、運動チックと音声チックに分類され、それぞれに単純性と複雑性があります。単純性運動チックは、まばたき、顔をしかめる、首振り、肩をすくめるなどで、複雑性運動チックは、物に触る、物を蹴る、跳びはねる、じだんだを踏む、舌を突き出すなどです。一方、単純性音声チックは、せき払い、発声、のどを鳴らす、鼻をすするなどで、複雑性音声チックは、人の言ったことをくり返す、荒々しい言葉を発するなどです。
多彩な運動チックと1つ以上の音声チックが1年以上続き、日常生活に支障をきたす場合は「トゥレット症」と呼ばれるようになります。
多くは軽快するが、成人以降も症状が持続することも
チック症は体質的な疾患で、脳内にある神経伝達物質の一種であるドパミンが強く働くことにより、脳の神経ネットワークの一部が過剰に活動することが原因と考えられています。
チックは、幼児期に始まることが多く、たいていはそのまま軽快していきますが、一部の人では長期にわたって持続する場合があります。なかには、成人しても症状が持続したり、むしろ悪化したりするケースもあります。
周囲の人は本人に寄り添うことが大切
日常生活に支障をきたしている場合は、行動療法や薬物療法などを行います。
チックの症状が起こる前には、のどが締め付けられる感じ、エネルギーが込み上げてくる感じ、体の一部がムズムズする感じなどが起こる場合があります。その際、チックの動作と反対の動きをする、チックの動作とは同時に行えないような動きをするなど、チックと拮抗するような動きをするのが行動療法です。具体的には、腕を動かしたくなったときに、腕を押さえるなどの行動をとるなどです。
薬物療法では、アリピプラゾールなどの薬や漢方薬、抗てんかん薬などを使用します。ただし、これらの薬は症状をやわらげることが目的であり、経過をよくしたり、病気を根治したりするものではありません。
チック症の人は、自分の意思ではどうすることもできないという不自由さや苦しさに加え、周囲からの理解を得られずにつらい思いをしている人が少なくありません。そのため、周囲の人は表面的な症状ばかりに目を向けるのではなく、どうしたら少しでも楽に過ごせるのかを一緒に考えるなど、本人に寄り添うような気持ちで接することが大切です。