50歳ごろから急激に増える「帯状疱疹」

50歳ごろから急激に増える「帯状疱疹」

50歳ごろから急激に増える「帯状疱疹」

2023.04.20

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痛みを伴う発疹が帯状に現れる「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」は、50歳以上で急増します。治療が遅れると、長期間にわたって痛みが残る「帯状疱疹後神経痛」を合併することがあるため、早期発見・早期治療に努めることが大切です。

潜んでいたウイルスが再活性化して発症

帯状疱疹は、水ぼうそうの原因ウイルスである水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化することで起こる病気です。

水痘・帯状疱疹ウイルスに初感染すると水ぼうそうを発症しますが、水ぼうそうが治ったあともウイルスは神経節に潜伏しています。その後、加齢や疲労、強いストレス、病気などにより免疫力が低下した際、ウイルスが再び活性化して皮膚の表面に現れ、帯状疱疹を発症します。

通常、皮膚症状よりも先にチクチク、ピリピリした痛みが生じ、続いて赤い発疹や水ぶくれが現れます。皮膚症状は、神経の分布領域に沿って出現するため、体の左右いずれか一方に現れるのが特徴です。

重篤な合併症を起こす危険も

発症する部位は、胸からわき腹、背中にかけてがもっとも多いですが、全身のどこにでも現れる可能性があります。とくに注意が必要なのが顔や頭に現れた場合で、この領域の神経が傷つけられると、顔面神経麻痺や視覚障害、味覚障害、難聴などの合併症が起こる危険があります。

帯状疱疹の多くは、2~4週間ほどで発疹が治まり、それに伴って痛みもなくなります。しかし、なかには発疹が治まったあとも、数カ月から数年にわたって頑固な痛みが残る「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれる合併症を起こす場合があります。帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹発症時の症状が重かった人や高齢者、持病のある人で起こりやすいとされています。

早期治療が重要。50歳以上はワクチン接種で予防を

帯状疱疹後神経痛を防ぐためにも、帯状疱疹は早期に治療することが重要であり、発疹が出てから3日以内に治療を開始するのが理想とされています。治療には、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬、痛みを抑える鎮痛薬が用いられます。

また、帯状疱疹を予防するには、ワクチンの接種が有効です。ワクチン接種は、発症リスクが高くなる50歳以上が対象で、現在、生ワクチンと不活化ワクチンの2種類があります。

生ワクチンの予防効果は50~60%ですが、副反応が少なく、1回の接種ですみます。一方、不活化ワクチンは副反応が比較的多く、2回の接種が必要ではあるものの、90%以上の予防効果があります。従来、接種費用は全額自己負担でしたが、最近は費用の一部を助成する自治体も増えつつあるので、お住まいの自治体に問い合わせてみるとよいでしょう。

(家庭の医学大全科ウェブサイト 編集部)