現代でも油断禁物。結核について正しく知ろう
現代でも油断禁物。結核について正しく知ろう
2022.11.18広告
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結核は過去の病気と思われがちですが、今でも年間1万人以上が発病し、約2,000人が命を落としています。重症化や感染拡大を防ぐためにも、結核について正しい知識を持ち、早期発見・早期治療に努めることが重要です。
発病率・死亡率は減ったものの、完全制圧には至っていない
結核とは、結核菌という細菌が原因でおこる感染症です。日本では、明治時代から昭和20年代まで死因のトップで、「国民病」「亡国病」と恐れられていました。
その後、BCGワクチン接種の普及や有効な治療薬の開発、衛生環境の改善などにより、発病率や死亡率は大幅に減少しましたが、完全に制圧するまでには至っていません。
免疫力の低下を機に、眠っていた菌が目覚めて発病
結核菌の主な感染経路は飛沫感染で、患者のせきやくしゃみなどによって空気中に飛び散った結核菌を吸い込むことで感染します。結核菌に感染しても、多くの場合は免疫の力により発病は抑えられます。しかし、その場合でも菌は休眠状態となって体内にとどまるため、加齢やほかの病気などにより免疫力が落ちると、潜んでいた菌が活動を始め、発病します。
現在、新たに結核を発病する人のうち、80歳以上が約4割を占めています。これは、かつて結核がまん延していた時期に感染したものの発病しなかった人が、加齢により発病したためと考えられます。また、結核は高齢者に限った病気ではなく、最近は20歳代でも発病するケースが少なくありません。
結核菌は主に肺で増殖し、せきやたん、発熱、呼吸困難といった症状が現れます。これらの症状はかぜとよく似ているため、結核菌への感染を見逃してしまいがちです。こうした症状が2週間以上続く場合は結核を疑い、医療機関を受診するか、保健所に相談しましょう。
また、高齢者では典型的な症状が現れないことも多いため、年に1度、定期健診でエックス線検査を受けることが重要です。
発病リスクが高い人はとくに要注意
結核菌に感染しているかどうかは、ツベルクリン反応検査や喀痰検査などで調べることができます。糖尿病のある人やHIV陽性者、透析治療中の人、免疫抑制剤やステロイド薬を使用している人、喫煙習慣のある人などは結核の発病リスクが高くなります。そのため、検査で感染が確認された場合は医師の指示に従って服薬を開始し、発病を防ぐことが大切です。
また、結核菌への感染や結核の発病を予防するため、十分な睡眠をとる、バランスのよい食事をとる、適度な運動をする、ストレスをためない、禁煙する、といったことを心がけるようにしましょう。