早期発見が難しいため、要注意─卵巣がん
早期発見が難しいため、要注意─卵巣がん
2022.06.30広告
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40歳代から増え始め、50~60歳代で発症のピークを迎える卵巣がん。自覚症状がほとんどなく、早期発見が難しいことに加え、進行しやすいがんでもあります。少しでも異変に気づいたら早めに婦人科を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
症状が現れたときはすでに進行している
卵巣は、子宮の両脇に1つずつある臓器で、親指の先ほどの大きさです。女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンを分泌するほか、初経から閉経までの間、卵子を周期的に放出する(排卵)働きがあります。卵巣がんは、この卵巣に発生する悪性腫瘍です。
卵巣がんは、初期には自覚症状がほとんどありませんが、進行が早く、短期間で腹腔内(おなかの中)にがんが広がりやすいという特徴があります。
卵巣がんが進行すると、おなかが張る、下腹部にしこりが触れる、食欲がなくなるなどの症状が現れます。また、大きくなったがんに膀胱や直腸が圧迫されて、頻尿や便秘がおきたり、腹水がたまっておなかが前に突き出してきたりすることもあります。これらの症状がみられるときには、がんはすでにかなり進行しています。
妊娠・出産歴がない人、40歳代以降の人は高リスク
卵巣がんは、排卵の回数が多いほど発症しやすいと考えられています。そのため、妊娠・出産歴がない人、40歳代以降の人はリスクが高くなります。卵巣で子宮内膜症が発生する、卵巣チョコレートのう胞がある人も卵巣がんになりやすいとされています。
また、卵巣がんの約1割は遺伝的要因が関係しているとされており、血縁者に卵巣がんや乳がんになった人が複数いる場合もリスクが高い可能性があります。これは遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)と呼ばれ、BRCAという遺伝子の変異によるものと考えられています。
治療は手術が基本
卵巣がんが疑われる場合は、腹部の触診・内診、超音波検査、CT検査、MRI検査などを行います。がんの確定診断のためには、病変の一部を採取して行う細胞診や生検が必要ですが、卵巣は腹腔内にあるため、おなかの皮膚の表面から針を刺して病変を採取することができません。そのため、画像検査の結果、がんが疑われる場合は、まず手術を行い、切除した卵巣の組織を調べて診断を確定します。
卵巣がんの手術では、がんが片側の卵巣だけにある場合でも、両側の卵巣と卵管、子宮などを切除するのが一般的です。ただし、ごく早期のがんで、将来の妊娠を希望している場合は、がんのない側の卵巣と卵管を残すこともあります。手術後は多くの場合、抗がん薬を用いた薬物療法を行い、再発を予防します。
卵巣がんを見逃さないためにも、おなか周りの異変に気づいたら、早めに婦人科を受診しましょう。
また、一般的な子宮がん検診は、子宮の入り口にできる子宮頸がんを発見するためのもので、卵巣がんは対象となっていません。卵巣がんのリスクが高い人は、人間ドックなどで超音波検査を受けるとよいでしょう。