長引く口内炎は、口腔がんの可能性も…
長引く口内炎は、口腔がんの可能性も…
2022.05.20広告
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口内炎は、通常は2週間ほどで自然に治りますが、それ以上長引いている場合は、口腔がんの可能性も考えられます。進行するとQOL(生活の質)にも大きく影響を及ぼすため、けっして放置しないようにしましょう。
発生頻度は低いが、日本では増加傾向に
口の中にできるがんを総称して、口腔がんと呼びます。できる部位により、舌(ぜつ)がん、歯肉がん、口腔底がん、頬粘膜(きょうねんまく)がんなどに分類されますが、もっとも多いのは舌にできる舌がんで、口腔がんの約半数を占めます。
発生頻度はがん全体の1~3%と低いですが、日本では年々増加傾向にあり、年間22,000人ほどが口腔がんと診断され、約8,000人が亡くなっています。
特徴的な症状に乏しく、見逃されてしまいがち
口腔がんの代表的な症状は口腔内の痛みで、そのほか、しこり、腫れ、ただれ、出血、歯のぐらつき、口臭などがあらわれることがあります。ただし、初期の口腔がんでは、はっきりとした自覚症状がみられないことがほとんどです。
また、舌や口の中の粘膜が白っぽくなったり、ただれたりといったことは、がん以外でもみられる症状であるため、見た目だけで判断することはできません。そのため、ただの口内炎だと思って放置してしまうケースもめずらしくありません。
口内炎が2週間以上治らない、舌や粘膜が赤くただれている、あるいは白い斑点がある、舌の側面に硬いしこりがある、歯ぐきの腫れや出血がある、歯がぐらつく、食べ物が飲み込みにくくなった、などの症状がみられる場合は、まずはかかりつけの歯科や耳鼻咽喉科で相談することがすすめられます。
予防のためには禁煙、節酒、口内環境の改善を
口腔がんかどうかを調べるためには、病変組織を採取して顕微鏡で調べる生検を行い、口腔がんと診断された場合は、CT検査、MRI検査などでさらにくわしく調べます。
口腔がんは、ほかのがんと比較して、化学療法や放射線療法が効きにくいという特徴があります。そのため、治療は外科的に病変組織を切除する手術が中心となります。
がんが小さければ部分切除ですみますが、大きい場合は舌の半分以上を切除する半側(はんそく)切除を行います。その場合、会話や飲食が困難になるため、体の別の部位から採取した組織を移植して舌の形を作り直す再建を行います。術後は、舌をうまく使えるようにするためのリハビリテーションも行われます。
口腔がんは、喫煙や過度の飲酒、望ましくない口内環境(むし歯、合わない入れ歯など)によってリスクが高くなります。これらの生活習慣を改善するとともに、口の中の異変に気づいたら放置せず、早めに医療機関に相談することが大切です。