不妊の原因になることも─―子宮筋腫

不妊の原因になることも─―子宮筋腫

不妊の原因になることも─―子宮筋腫

2022.04.01

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子宮筋腫は、30歳以上の女性の2~3割にみられる、めずらしくない腫瘍(しゅよう)です。必ずしも治療が必要ではありませんが、筋腫ができている場所などによっては不妊の原因になる場合もあるため、主治医とよく相談のうえ治療方針を決めましょう。

できる場所や大きさにより症状が異なる

子宮筋腫は、子宮にできる良性の腫瘍です。子宮の壁は3層に分かれていて、できる場所や大きさによって症状が異なります。

一番内側の内膜にできるものを粘膜下筋腫といいます。内側に向かって発育するため、過多月経や重い貧血をおこしやすいほか、受精卵が着床しにくくなるため不妊の原因にもなります。

一番外側の漿膜(しょうまく)にできるものを漿膜下筋腫といいます。筋腫が外に向かって発育するため、大きくなるまで目立った症状が現れにくい一方、一定以上の大きさになると膀胱や直腸など周囲の臓器を圧迫し、頻尿や便秘をおこす場合があります。

子宮筋腫でもっとも多いのが、漿膜の内側の筋層にできる筋層内筋腫です。複数できることが多く、筋腫の数が多くなったり、大きくなったりすると、過多月経や生理痛の原因になります。

症状が重かったり、妊娠に支障がある場合は治療を

子宮筋腫があっても1~2割の人は無症状で、そのような場合は経過観察で十分です。しかし、症状が重い場合や妊娠に支障があると考えられる場合は、きちんと治療を受けることが勧められます。

薬物療法では、痛みを抑える鎮痛薬、貧血を改善する鉄剤などを用いて症状を改善します。あるいは、筋腫が大きくなるのを防ぐ目的でホルモン療法が行われる場合もあります。

十分な説明を受け、納得のいく治療法を選ぶことが大切

薬物療法で効果がみられない、筋腫が妊娠の妨げになっているといった場合は、手術が検討されます。妊娠を希望していたり、子宮を残したい場合は、筋腫だけを切除する筋腫摘出術が行われますが、再発する可能性があります。将来的にも妊娠を希望していない場合は、子宮そのものをとってしまう子宮摘出術が行われます。

手術の方法はおもに2種類あり、腹腔鏡下手術は、おなかに開けた小さな孔(あな)から内視鏡を入れて筋腫を切除するものです。傷が小さく、痛みも少なくてすみますが、筋腫が大きかったり、数が多い場合には行えないこともあります。

子宮鏡下手術は、膣から内視鏡を挿入して筋腫を切除する方法です。傷をつくることがなく、術後の回復も早いですが、行えるのが子宮内膜近くの筋腫に限定され、一度にすべての筋腫を切除しきれない場合もあります。

治療法にはそれぞれにメリット・デメリットがあるため、医師からきちんと説明を受けたうえで、納得できる方法を選びましょう。

(家庭の医学大全科ウェブサイト 編集部)