若い男性に多い「気胸(ききょう)」─突然の胸の痛みや呼吸困難に注意
若い男性に多い「気胸(ききょう)」─突然の胸の痛みや呼吸困難に注意
2021.11.05広告
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気胸は、若い男性に多い肺の病気で、突然の胸の痛みや呼吸困難が起こるのが特徴です。初期であれば自然に治りますが、重症化すると危険な状態に陥る可能性があるため、少しでも異変に気づいたら早めに受診しましょう。
長身でやせ型の若い男性は要注意
肺は、胸腔(きょうくう)という空間に収まっており、この中で膨らんだり、縮んだりをくり返すことで呼吸をしています。気胸は、何らかの原因により肺に穴が開き、空気が肺から胸腔に漏れてしまい、肺が縮んでしまう病気です。
気胸は圧倒的に男性に多く、10歳代後半から20歳代前半の長身でやせ型の人に多いのが特徴です。また、喫煙習慣のある高齢の男性にも多くみられます。
肺に穴が開いて空気が漏れ、呼吸がしづらくなる
気胸の主な原因は、肺のう胞です。肺のう胞とは、肺の表面にできる風船のような膨らみのことをいいます。肺のう胞は、肺の上部にできることが多く、これが大きくなって破れると肺に穴が開き、胸腔に空気が漏れてしまいます。すると、胸腔内の内圧が上がるため、息を吸っても肺が膨らまず、呼吸がしづらくなります。
そのまま空気が漏れ続けると、胸腔内の内圧がさらに上がり、心臓や肺を圧迫して重篤な状態になる危険があります。このような重症化した気胸を緊張性気胸と呼びます。
若い人の気胸はこうした肺のう胞によるものがほとんどですが、高齢者の場合は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や間質性肺炎といった肺の病気が原因で起こるケースも多くみられます。
気胸の代表的な症状は、突然の胸の痛みと呼吸困難で、深呼吸をしたときに胸が痛むことも特徴です。緊張性気胸では呼吸困難の程度も重く、チアノーゼ(血液中の酸素不足で皮膚が青紫になる)やショック(血圧が急降下し、さまざまな障害が起こる)などの症状が現れることもあります。
重症度などにより治療法は異なる
気胸の治療法は、症状の程度などにより異なります。肺に開いた穴が小さく、自覚症状もほとんどない場合は、3~4日間安静にします。経過が良好であれば、穴は自然にふさがり、肺も元どおりに膨らんできます。
胸腔内に多くの空気がたまり、肺が縮んだままになっている場合などは、胸腔ドレナージという治療法を行います。これは、ドレーンと呼ばれる細いチューブを胸腔に挿入し、胸腔内の空気を抜くことにより肺を膨らませる方法です。
胸腔ドレナージでは症状が改善しなかったり、気胸を再発したりした場合は、肺のう胞を切除する手術が検討されます。手術は主に胸腔鏡を使って行われるため、体への負担は少なくてすみます。
高齢者、あるいは別の肺の病気を合併していて手術が難しい場合は、患者自身の血液を使って肺の穴を塞ぐ癒着療法などが行われます。