原因不明の難病──もやもや病はどんな病気?
原因不明の難病──もやもや病はどんな病気?
2021.02.19広告
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原因不明で、国の難病にも指定されている「もやもや病」。放置すると、脳梗塞や脳出血を起こすリスクが高くなるため、病気について正しい知識を持っておきましょう。
10歳以下の子どもと30~40歳代に多く発症。女性の比率が多い
もやもや病とは、脳に血液を送る太い血管である内頚(ないけい)動脈が徐々に細くなり、脳の血流不足や脳出血を起こす病気です。
内頚動脈は、脳に到達する終末部は細くなっていますが、もやもや病ではこの終末部がさらに細くなって、その先の血流が滞ってしまいます。すると、不足した血流を補うために、周囲には太い血管から枝分かれした毛細血管が網目状に発達します。この異常に発達した網目状の毛細血管が、脳血管造影画像では立ち上る煙のようにもやもやとして見えたことから「もやもや病」と名付けられました。
もやもや病の発症は、10歳以下の子どもでもっとも多くみられ、次いで30~40歳代に多く発症します。日本人の患者を男女比でみてみると、男性1に対して女性は1.8~2.0と、女性に多いことがわかっています。
最近の研究により、もやもや病の発症には遺伝子が関係しているとの報告があり、約10%に家族内発症が認められています。しかし、原因ははっきりとわかっていないことから、厚生労働省の指定難病と小児慢性特定疾病に指定されています。
失神、頭痛、手足の麻痺、言語障害などが現れる
もやもや病は、網目状の毛細血管への血流が不足する「虚血型」と、網目状の毛細血管に負担がかかって脳出血を起こす「出血型」の2つに大きく分けられます。子どもが発症するもやもや病のほとんどが虚血型であるのに対し、大人では虚血型と出血型が約半数ずつみられます。
主な症状として、失神、頭痛、片側の手足の麻痺、言語障害などがあげられます。そのほか、虚血型では、けいれん、体に力が入らない、自分の意志と関係なく体が動く、といった症状が現れる場合もあります。また、小児の場合は過呼吸によって発作が起こりやすくなるため、熱い食べ物を冷ますために「フーッ」と息を吹きかける動作や楽器を吹く動作などが引き金になる場合があります。
治療には手術療法が有効
もやもや病の治療法として有効なのが、バイパス手術です。直接バイパス術は、頭皮の下にある血流が豊富な動脈を脳の血管につなぐ手術法です。また、間接バイパス術は、頭皮の血管や血流豊富な組織を脳表に置いて、新たな血管が生えるのを待ちます。こうして新たな血液の通り道をつくって脳への血流をふやすことにより、脳梗塞の発症を防ぐだけでなく、脳出血の再発率を下げることができます。
発作を抑えるために、血液を固まりにくくする抗血小板薬を用いることもありますが、脳出血を起こすとかえって危険なので、状態が安定している場合は手術を受けることが勧められます。