胆石は成人の10人に1人がもっている!?
胆石は成人の10人に1人がもっている!?
2021.02.08広告
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胆石は、胆汁という消化液の成分が結晶化し、体内に石ができる病態の総称です。激痛が起こるイメージが強いですが、まったく無症状であることもめずらしくありません。胆石ができる場所によっては重症化する危険もあるため、必要に応じて適切な治療を受けることが大切です。
胆石ができる部位により2つのタイプに分けられる
脂肪の消化を助ける働きのある胆汁という消化液の成分が、胆道(胆汁の通り道)の中で固まって、結晶化したものを胆石といいます。日本では、胆石のある人は約1,000万人いると推計されており、成人の10人に1一人の割合です。近年は自覚症状がなく人間ドックなどで発見されるケースが多くなっています。
胆汁は肝臓でつくられ、胆嚢(たんのう)で一時的に蓄えられます。そして、食事をして食べたものが十二指腸に運ばれるタイミングで、胆嚢が収縮することで、胆汁は総胆管という管を通って十二指腸に送り出され、脂肪の消化を助けます。この胆汁の成分が結晶化したものが胆石で、胆嚢の中にできるものを胆嚢結石、総胆管にできるものを総胆管結石と呼びます。
胆石があっても3分の2は無症状
胆石が胆嚢内にとどまっている胆嚢結石の場合は無症状のことが多いのですが、胆石が胆嚢の出口につかえると激しい痛みが起こります。代表的な症状は、みぞおちの右下あたりに生じる痛みで、右肩周辺に痛みを感じる場合もあります。この痛みは、脂肪分の多い食事をした後に出やすいのも特徴です。また、胆嚢が炎症を起こすと、皮膚が黄色くなる黄疸(おうだん)がみられることもあります。
しかし、胆石のある人のうち、こうした症状が出るのは3分の1ほどで、残りの3分の2は無症状のままです。
一方、総胆管結石の場合は、胆石が総胆管を防いでしまい、流れなくなった胆汁に細菌が感染して急性胆管炎を起こすことがあります。また、感染した胆汁が血液中に逆流して敗血症という重い病気を引き起こす危険があるため要注意です。
一度でも痛みが起こった場合は、手術による治療を受けるのが原則
胆石があっても無症状の場合は治療の必要はなく、定期的に経過観察をします。ただし、胆嚢壁が厚くなっている、小さな胆石がたくさんあるなど、胆嚢がんの可能性が否定できない場合は、治療が必要です。
一度でも痛みが起こった場合は、原則として手術による治療を行います。胆嚢結石の手術では、腹腔鏡(ふくくうきょう)を使って胆嚢そのものを摘出します。胆嚢をとってしまっても、体に必要な胆汁は肝臓から供給されるため、日常生活への支障はほぼありません。
一方、総胆管結石の場合は、口から内視鏡を十二指腸に挿入し、胆石を除去します。最近では、腹腔鏡を使って胆管を切開し、胆石を取り出す手術法が行われることも多くなってきました。
胆石の数や大きさなどにより最適な治療法が異なるため、担当医とよく相談のうえ、選択することが大切です。