味がわかりにくくなる味覚障害─2週間は慎重に行動を
味がわかりにくくなる味覚障害─2週間は慎重に行動を
2020.11.20広告
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新型コロナウイルス感染症の症状のひとつとして、味覚障害が注目を集めるようになりました。味覚障害になると、いつもどおりに食事を楽しめなくなるだけでなく、二次的な影響により健康を害する可能性もあるため、注意が必要です。
味覚以外にもさまざまな要因が影響
味覚障害とは、何を食べても味がうすく感じたり、味がよくわからなかったりする状態をいいます。
私たちの舌の表面には、味を感知するセンサーの働きをする味蕾(みらい)という器官があります。食べ物を口にすると、味蕾の中にある味細胞(みさいぼう)が味を感じとり、その味は神経を通って脳に伝えられ、私たちは味を感じます。
食べ物のおいしさは味覚だけで感じとっているわけではなく、香りや食感、見た目、噛んだときの音なども大きく影響します。そのため、味覚障害は単に味覚に異常があるだけでなく、さまざまな要因が重なっている場合があります。
栄養不足、塩分・糖分のとり過ぎの原因に
味覚障害の主な原因は、加齢と亜鉛の欠乏です。味蕾の中にある味細胞は加齢に伴って減少するため、一般的に味覚は加齢とともに低下します。
亜鉛は味細胞の新陳代謝に欠かせない栄養素であるため、亜鉛不足になると味覚障害がおこりやすくなります。
また、だ液の分泌量が減って口の中が乾燥したり、舌苔(ぜったい:舌の表面の汚れ)がたまっていたりすると、味蕾が味を感じにくくなる原因となります。そのほか、糖尿病や腎臓病、アレルギー性鼻炎などの病気、薬の副作用によって味覚障害がおこる場合もあります。
味覚障害になると食事がおいしく感じられないため、食欲が落ちて栄養不足になりがちです。また、味がうすく感じるためにどうしても味付けが濃くなり、塩分や糖分のとり過ぎにつながるため、要注意です。
新型コロナ感染拡大防止のため、2週間は外出を控える
味覚障害の治療の基本は、亜鉛を十分に摂取することです。亜鉛は、牛肉やレバー、乳製品(チーズなど)、魚介類(かき、かになど)、干ししいたけ、海藻類(わかめ、ひじきなど)に豊富に含まれているので、これらを積極的にとりましょう。
症状に応じて、亜鉛製剤が処方されたり、サプリメントを併用したりする場合もあります。原因となる持病がある場合は、適切な治療を行うことが大切です。
味覚障害は、インフルエンザや一般のかぜでも生じることがありますが、新型コロナウイルス感染症でもおこる場合があるとされています。そのため、日本耳鼻咽喉科学会では、急に味覚や嗅覚に異常を感じるようになった場合には、2週間は不要不急の外出を控えるよう指導しています。2週間経ってもほかの症状がなく、味覚や嗅覚が改善しない場合は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。