酸蝕歯(さんしょくし)―むし歯はないのに歯がしみる場合は要注意

酸蝕歯(さんしょくし)―むし歯はないのに歯がしみる場合は要注意

酸蝕歯(さんしょくし)―むし歯はないのに歯がしみる場合は要注意

2020.11.09

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炭酸飲料やワインを飲むと歯にしみる、といった症状がみられる場合は「酸蝕歯(さんしょくし)」の可能性があります。放置するとむし歯に進行したり、噛み合わせが悪くなったりする場合があるので、十分な注意が必要です。

酸性度の高い飲食物が原因で歯が溶ける

歯の病気というと、むし歯や歯周病がよく知られていますが、近年問題になっているのが「酸蝕歯」です。酸蝕歯とは、酸性度の高い飲食物などにより歯が溶けてしまう状態です。

酸性・アルカリ性の度合いは、pHという値で示され、数字が低いほど酸性度が高くなります。歯は酸に弱く、pHが5.5以下になると歯の表面が溶けやすくなると考えられています。

酸性度の高い飲食物を口にしても、通常はだ液が酸を洗い流して中和するため、とくに問題はありません。しかし、酸性度の高いものを頻繁にとっていると、歯は酸に長時間さらされることになります。すると、歯の表面が溶けて象牙質が露出してしまい、歯がしみるなどの症状が現れます。これが酸蝕歯です。

飲食物だけでなく、胃酸が原因のケースも

原因となる代表的な飲食物は、炭酸飲料、ワイン、栄養ドリンク、酢、かんきつ類、ドレッシングなどです。また、胃酸も歯を溶かすほど酸性度が高いため、逆流性食道炎や摂食障害による嘔吐が原因で酸蝕歯になるケースもあります。

むし歯はないのに冷たいものや熱いものが歯にしみる、歯の角が丸みを帯びている、歯の表面がくぼんでいる、などの症状がみられたら酸蝕歯の疑いがあるため、早めに歯科医院を受診しましょう。

歯科医院では、エナメル質や象牙質など歯の組織を守る薬剤を歯に塗って、歯を保護する治療のほか、症状が重い場合は詰め物やかぶせ物をする処置などが行われます。

日々のケアに加え、定期的な検診が大切

酸蝕歯の予防の基本は、毎日の歯磨きです。フッ化物や硝酸カリウムなどの成分が含まれた歯磨き剤を使うと、酸に対する抵抗性を向上させる効果が期待できます。

加えて、歯を酸に長時間さらさないようにすることが重要です。酸性度の高い飲食物はとりすぎないようにし、いつまでも飲み込まずに口の中にためることは避けましょう。飲み物はストローで飲むようにすると、歯への接触を抑えられます。

酸性度の高い飲食物を口にした後は、水で口をすすぐと、酸を洗い流すことができます。あるいは、飲食後にガムをかむと、だ液の分泌が促されるため、酸を中和してくれます。

こうした日々のケアと毎日の正しい歯磨きを心がけるとともに、定期的に歯科検診を受け、歯の健康を守りましょう。

(家庭の医学大全科ウェブサイト 編集部)