ヘッドホンの大音量や長時間の使用が招く難聴。予防のポイントは?

ヘッドホンの大音量や長時間の使用が招く難聴。予防のポイントは?

ヘッドホンの大音量や長時間の使用が招く難聴。予防のポイントは?

2025.06.06

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ヘッドホンやイヤホンの大音量や長時間の使用が原因で、耳が聞こえにくくなることをヘッドホン難聴といいます。日常的に音楽や動画を楽しんでいる人、オンライン会議が多い人などは注意が必要です。

世界で10億人以上の若者にリスクあり

ヘッドホン難聴とは、ヘッドホンやイヤホンで大音量の音を長時間聞き続けることによって引き起こされる難聴をいいます。ヘッドホン難聴は若年層に多く、WHO(世界保健機関)は世界で10億人以上の若者(12~35歳)が難聴のリスクにさらされていると注意を促しています。

失われた聴力は回復しない

耳の奥にある内耳には蝸牛という器官があり、その内部には有毛細胞という細胞が並んでいます。耳から入った音は、有毛細胞で振動から電気信号に変換され、それが脳に伝わることで音として認識されます。

大音量に長時間さらされると、有毛細胞が傷つき、聴力が低下します。これがヘッドホン難聴で、正式には音響性聴器障害といいます。音量と時間のどちらの影響が大きいかは明らかになっていませんが、85dB(自動車の騒音程度)以上の音の場合、聞いている時間に比例してヘッドホン難聴を起こすリスクが高くなります。

ヘッドホン難聴は時間をかけてゆっくり進行するため、初期には自覚しにくい病気です。しかし、有毛細胞が壊れると、一度失われた聴力が回復することはなく、現時点では治療薬もないため、何よりも予防することが大切です。

できるだけ音量を小さくし、定期的に休憩を

ヘッドホン難聴のサインとして、聞こえにくさや耳鳴り、耳閉塞感(耳が詰まった感じ)が生じます。気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

有毛細胞が壊れる前であれば、耳栓を使う、定期的に耳を休ませるなど、耳の安静を図ることで回復します。

治療法としては、ステロイドや血管拡張薬、ビタミン剤、代謝促進薬などが処方されることがあります。

ヘッドホン難聴を防ぐためには、ヘッドホンやイヤホンを使用するときは可能な限り音量を小さくすることが大切です。目安として、大人は80dB(地下鉄の車内の音程度)以下、子どもは75dB(飛行機の機内の音程度)以下にとどめます。使用時間は、1週間あたり最大で40時間を目安にしましょう。

そのほか、音量を上げすぎない工夫として、周囲の騒音を抑えるノイズキャンセリング機能があるといった遮音性の高い製品を選ぶことや、1時間使用したら10分ほど耳を休ませることも有効です。

(家庭の医学大全科ウェブサイト 編集部)