特定の食べ物が原因で嘔吐や下痢が起こる「消化管アレルギー」とは?
特定の食べ物が原因で嘔吐や下痢が起こる「消化管アレルギー」とは?
2025.01.06広告
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「消化管アレルギー」とは、特定の食べ物を口にしたあとに嘔吐や下痢などが起こる、乳幼児に多い病気です。ほとんどの場合は自然に治りますが、重い症状が出る場合もあるので注意が必要です。
発症のピークは新生児期から乳児期
消化管アレルギーは食物アレルギーの一種で、「食物たんぱく誘発胃腸症」とも呼ばれます。
特定の食べ物を食べたあとにアレルギー反応を起こすのが特徴で、主な症状は、嘔吐や下痢、血便などです。アレルゲン(原因となる物質)は主に食べ物に含まれるたんぱく質で、母乳やミルク(人工乳)、牛乳、卵、大豆などが原因として多くみられます。
新生児期から乳児期にかけて発症することが多いものの、成人で発症する場合もあります。
症状が出るまでに数週間かかる場合も
消化管アレルギーは、症状の起こり方によって大きく2つに分けられます。
1つは、原因となる食べ物を食べてから症状があらわれるまでに1~6時間程度かかるタイプで、嘔吐などの症状がくり返し起こります。もう1つは、症状が出るまでに1日~数週間かかるタイプで、原因食物を除去してからも1日~数週間ほど症状が続くとされています。そのため、原因食物を特定するのが難しい場合があります。また、最初のうちは問題なく食べられていても、食べる量が増えるにつれて発症することもあります。
消化管アレルギーの診断の際は、原因と思われる食べ物を除去して症状が改善するかどうか(食物除去試験)、その食べ物を再度食べて症状が出るかどうか(食物負荷試験)を確認します。さらに、ほかの病気に当てはまらないことを確認するため、血液検査や便検査、画像検査、消化管内視鏡検査などを行う場合もあります。
食べられるようになったかの確認が大切
消化管アレルギーの治療の基本は、原因食物の除去です。乳幼児で母乳やミルクが原因の場合は、代わりにアレルギー用ミルク(高度加水分解乳やアミノ酸乳)を使用します。栄養が不足しないよう、医師や管理栄養士と相談しながら進めることが大切です。
消化管アレルギーと診断後、原因食物を誤って食べて嘔吐したときは、症状が落ち着いてから嘔吐物をふき取ります。嘔吐がおさまったら、まずはスプーン1杯ずつ水分を補給し、問題なければ少しずつ食事を開始します。その後も体調に変化がないか、6時間は様子をみましょう。
視線が合わない、泣き声が弱い、手足が冷たい・色が悪い・だらんとしているといった症状は重症のサインです。これらに1つでも当てはまる場合は、すぐに救急車を呼びましょう。
消化管アレルギーは、幼児期のうちに治ることが多いと報告されています。定期的に食物負荷試験を受け、原因食物を食べられるようになったかどうか確認しましょう。