下腹部が急に痛くなる「虚血性大腸炎」とは
下腹部が急に痛くなる「虚血性大腸炎」とは
2024.11.01広告
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大腸への一時的な血流不足により、急な下腹部痛や血便などがあらわれる虚血性大腸炎。多くは薬物療法などでよくなりますが、命に関わる場合もあるので注意が必要です。
動脈硬化や便秘などが発症の原因に
虚血性大腸炎は、大腸の末梢血管への血流が一時的に悪くなることによって、大腸に炎症や損傷などが起こる病気です。主な症状は、突然の下腹部痛(多くは左下腹部)や鮮血の混じった下痢、血便などです。それに加えて、吐き気や嘔吐、冷や汗、発熱などを伴うこともあります。
虚血性大腸炎の原因には、血管や腸管によるものがあり、それぞれが影響し合って発症します。血管の原因としては動脈硬化などが考えられ、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった動脈硬化を引き起こす病気も関係しています。腸管の原因として多くみられるのは便秘です。ほかにも、腸の動きが活発な状態になるなども関係しているとされています。
50歳以上の人が多くを占める病気ですが、便秘がひどい若年層にもみられます。
多くの場合、内科的療法で回復
虚血性大腸炎の診断では、腹部CT検査や大腸内視鏡検査などを行います。検査によって大腸の粘膜に発赤やむくみ、出血、炎症などが確認された場合、虚血性大腸炎が疑われます。これらの検査結果と病歴などを総合的にみたうえで、診断が確定されます。
治療の基本は、腸管を安静にすることです。食事制限や絶食、点滴などの薬物療法などにより、通常は1~2週間ほどで回復します。症状が軽い場合は通院で治療しますが、症状が重い場合は入院治療となることもあります。
腹部全体に激しい痛みがある場合は受診を
重症の場合、数週間から数カ月後かけて、腸の内側が狭くなる(狭窄)ことがあります。狭窄が強く、通過障害を起こしている場合は手術が必要になり、また、腸管が壊死している場合は、緊急手術が行われます。
虚血性大腸炎は再発する場合もあるので、治療後も予防に努めることが重要です。バランスのとれた食事、適度な運動、こまめな水分補給を心がけるなど、生活習慣を見直しましょう。便秘がある場合はその改善に努めるほか、高血圧や糖尿病など、虚血性大腸炎の原因となる病気はしっかり治療することが大切です。