甲状腺ホルモンが過剰に分泌されて起こる「バセドウ病」とは
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されて起こる「バセドウ病」とは
2024.02.02広告
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バセドウ病は、本来、ウイルスや細菌などから体を守るための生体反応である免疫が、自身の体を攻撃してしまう自己免疫疾患の1つです。「暑がりになった」「きちんと食事をしているのに体重が減ってきた」などの症状がある場合は、早めに専門医を受診しましょう。
甲状腺ホルモンの過剰分泌によって発症
バセドウ病の発症には、免疫機能の異常が関係しています。
免疫機能とは、ウイルスや細菌などが侵入したとき、抗体を作ることによってそれらを排除しようとする仕組みのことです。しかし、この免疫機能の異常によって自己抗体が作られると、自身の臓器や細胞に攻撃が向かってしまいます。これを自己免疫疾患といい、バセドウ病もその1つです。
バセドウ病では、自己抗体が甲状腺刺激ホルモン(TSH)受容体という部分に向かい、それによって甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、さまざまな症状が起こります。
自己抗体が作られる原因ははっきりしていませんが、元々バセドウ病になりやすい体質の人が、ウイルス感染やストレス、妊娠・出産などをきっかけに発症すると考えられています。
代謝が異常に活発になり、さまざまな症状があらわれる
甲状腺ホルモンは、全身の臓器や細胞の代謝を促す作用があるため、過剰に分泌されると全身の代謝が異常に活発になります。甲状腺の腫れや眼球の突出のほか、動悸、暑がり、多汗、体重減少、手の震え、精神的なイライラなど症状は多岐にわたります。
バセドウ病を診断するには、血液検査で血液中の甲状腺ホルモンやTSHの濃度、抗体の有無などを調べます。さらに、超音波検査で甲状腺の大きさや血流を調べるほか、甲状腺がんを合併していないかなどを確認します。
治療法には3つの選択肢がある
バセドウ病には、薬物療法、放射性ヨウ素内用療法(アイソトープ治療)、手術の3つの治療法があります。
多くの場合に第1選択となるのは薬物療法です。抗甲状腺薬を服用し、甲状腺ホルモンが作られるのを抑えます。副作用によって服薬が続けられない、薬では甲状腺ホルモン値が安定しないなどの場合は、ほかの治療法を検討します。
放射性ヨウ素内用療法とは、放射性ヨウ素の入ったカプセルを服用し、その放射線で甲状腺の細胞の数を減らすことで、甲状腺ホルモンの過剰な分泌を抑える治療法です。安全で効果が確実な治療法ですが、妊娠中や授乳中の人、18歳以下の人には行うことができません。
甲状腺が大きく腫れている、腫瘍が合併しているといった場合は、手術で甲状腺を摘出します。甲状腺を全摘すると甲状腺ホルモンは分泌されなくなるため、甲状腺ホルモン薬を服用して補う必要があります。
日常生活では睡眠を十分にとる、ゆったり過ごすなどを心がけてストレスをためないようにして、喫煙者は禁煙することが大切です。