激しい月経痛は「子宮内膜症」のサインかも

激しい月経痛は「子宮内膜症」のサインかも

激しい月経痛は「子宮内膜症」のサインかも

2024.01.05

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子宮内膜症は、月経のある女性の10人に1人が発症する、けっして珍しくはない病気です。放置すると、激しい月経痛に悩まされるほか、不妊や卵巣がんのリスクもあるため、気になる症状があれば早めに婦人科を受診することが大切です。

子宮内膜組織が本来とは違う場所で増殖する

子宮内膜とは、子宮の内壁を覆っている粘膜で、受精卵が着床するところです。月経がある間は毎月、妊娠に備えて増殖し、妊娠が成立しないとはがれ落ちて、血液とともに月経血として体外に排出されます。

ところが、月経血の一部が卵管を通じて逆流し、骨盤内の臓器などに付着することがあります。この状態が続くと、子宮内膜あるいはそれに似た組織が本来あるべき子宮の内側以外の場所に発生し、発育します。これが子宮内膜症です。

激しい月経痛のほか、不妊や卵巣がんの原因になることも

子宮内膜症ができやすいのは、骨盤腹膜や卵巣、子宮と膀胱の間のくぼみなどがあげられますが、まれに肺や腎臓といった骨盤外の臓器にもみられることがあります。

子宮内膜症ができた場所では、月経のたびに出血や炎症が起こり、激しい月経痛を招くほか、骨盤内の臓器同士が癒着することもあります。月経痛以外にも、腰痛や排便痛、性交痛などがみられることもあります。

また、子宮内膜症は、卵管機能の低下や受精卵の発育障害を招くことから、不妊の原因にもなります。

子宮内膜症が卵巣にできると、月経ごとに子宮内膜組織から出血した血液が卵巣内にたまっていきます。古い血液は水分が吸収されて濃縮し、溶けたチョコレートのようになることから、卵巣チョコレート嚢胞(のうほう)と呼ばれます。卵巣チョコレート嚢胞になると、不妊や卵巣がんのリスクが高まることもわかっています。

治療法はライフステージを考慮して選択される

子宮内膜症の治療は、症状の程度だけでなく、年齢や妊娠の希望の有無などを総合的に判断したうえで行われます。すぐに妊娠を希望しない場合は、鎮痛薬のほか、低用量ピルや黄体ホルモン薬、GnRH拮抗薬などが用いられます。これらの薬物療法で痛みが治まらない場合は、手術を検討します。

妊娠を希望する場合は、正常な卵巣を残して病巣部のみを切除したり、卵管周囲の癒着をはがしたりする手術が行われます。

また、40歳以上の人や癒着がひどい人などで、卵巣チョコレート嚢胞がある場合は、卵巣がんを予防するため、卵巣ごと切除する手術が行われることがあります。
子宮内膜症は、早期に発見して治療を始めることが重要です。強い月経痛がある、痛みが以前より増しているといった場合は、早めに婦人科を受診しましょう。

(家庭の医学大全科ウェブサイト 編集部)