けがや病気が治っても痛みが続く「慢性痛」
けがや病気が治っても痛みが続く「慢性痛」
2023.05.08広告
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「慢性痛」とは、けがや病気といった特定の原因がないにもかかわらず、慢性的に痛みが続く状態をいいます。放置すると、QOL(生活の質)を著しく低下させてしまうことにもなりかねないので、慢性痛について正しく理解し、適切に対処することが大切です。
脳が過敏に反応し、痛みを感じやすくなる
けがや病気などで体が傷つくと、神経がその刺激を感知して電気信号を発し、それが脳に伝わることで「痛い」と感じます。これが通常の痛みで、けがや病気がよくなれば、痛みもなくなります。
ところが、痛みに対して強い不安や恐怖を感じたり、痛みが長く続いたりすると、痛みの伝達や抑制をする回路がうまく働かなくなります。その結果、脳が過敏になってわずかな刺激でも痛みを感じたり、慢性的に痛みを感じたりするようになってしまうのです。
少しずつでも体を動かすことが痛みの解消につながる
痛みがあるとそれだけで大きなストレスとなるだけでなく、痛みが起こることへの不安からつい家に閉じこもってしまいがちです。すると、体力の低下や食欲不振、不眠などを招くほか、気分も落ち込んでますます神経が過敏になり、痛みを感じやすくなるという悪循環に陥ってしまいます。
慢性痛を克服するためには、無理のない範囲で体を動かすことが大切です。運動には、筋力をつけたり、柔軟性を高めたりするほか、痛みを和らげるドパミンという脳内物質を放出させる効果もあるため、慢性痛の改善が期待できます。
ただし、いきなり高い目標を掲げてしまうと、長続きしないばかりか、かえってストレスになってしまいます。まずは、ウォーキングやストレッチなど手軽にできるものから始め、体を動かすことに慣れてきたら、スクワットなどの筋トレも少しずつ取り入れていくとよいでしょう。
神経質になりすぎず、プラス思考を心がけよう
また、深呼吸をすることも痛みのコントロールに有効です。楽な姿勢をとり、呼吸に意識を集中して、ゆったりと深い呼吸をくり返しましょう。痛みにとらわれていた心が解放されるとともに、副交感神経が優位になるため、痛みを和らげることができます。
日常生活では、痛みに対して過剰に心配したり、痛みをゼロにしたいと焦ったりすると、かえって症状を悪化させることになりかねません。「昨日より痛みが少し楽になった」「痛くてもやりたいことができた」というように、できるだけプラス思考を心がけるようにすることも慢性痛を克服するためには大切です。