日中に強烈な眠気に襲われる「ナルコレプシー」
日中に強烈な眠気に襲われる「ナルコレプシー」
2023.04.07広告
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昼間に突然強い眠気が出現して、眠り込んでしまう病気の「ナルコレプシー」。生活に支障をきたすだけでなく、転倒や転落をしたり、交通事故の当事者となったりする危険があるため、ナルコレプシーが疑われる場合はきちんと検査を受け、適切な治療を受けることが重要です。
通常では考えられない状況でも眠り込んでしまう
ナルコレプシーは、夜十分に睡眠をとっているにもかかわらず、日中に強烈な眠気が起こり、居眠りをしてしまう病気です。
ナルコレプシーの眠気は急激に起こり、なおかつ自分の意思ではコントロールできないほど強烈です。この症状は睡眠発作と呼ばれ、歩行中や食事中、入学試験中、顧客との商談中など、通常では考えられない状況でも眠り込んでしまいます。睡眠発作が起きた際、5~10分間ほど眠ると眠気はいったん治まりますが、発作は1日に3~10回ほどくり返されます。
そのほか、大笑いや喜び、驚きなどの強い感情をきっかけに体の一部、あるいは全身の力が抜けてしまう「情動脱力発作」、入眠時もしくは目覚めたときに一時的に体が動かせなくなる「睡眠麻痺(まひ)」(いわゆる金縛り)、実際にはその場にいない人の声や気配を感じる「入眠時幻覚」といった症状が現れる場合もあります。
診断には2種類の検査が行われる
私たちが覚醒した状態を保つためには、オレキシンという物質が必要になりますが、ナルコレプシーはこのオレキシンを作り出す神経細胞が正常に働かなくなることが原因で起こることがわかっています。
ナルコレプシーの診断には、おもに2つの検査が行われます。1つは「終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)」というもので、夜間の睡眠状態を精密に調べるとともに、ほかの睡眠障害がないかどうかを確認します。もう1つの「反復睡眠潜時検査(MSLT)」では、日中の眠気の程度や、眠りの浅い「レム睡眠」の出現しやすさを測定します。これらの検査を行うには、1~2泊の入院が必要となります。
薬物療法とともに、生活習慣の改善が不可欠
現在のところ、ナルコレプシーに対する根治的な治療法は確立されていませんが、対症療法を続けることで、症状を改善することは可能です。
ナルコレプシーを治療するには、薬物療法と並行して、生活習慣を見直すことが肝心です。睡眠発作に対しては中枢神経刺激薬が用いられ、さらに情動脱力発作がある場合には、抗うつ薬が処方されます。
生活習慣については、規則的な生活を心がける、夜間に十分な睡眠をとる、昼休みなどに短時間の仮眠をとる、カフェインを適宜摂取する、といったことを意識するようにしましょう。