コロナ禍で増えたという摂食障害。正しく理解し根気よく取り組もう

コロナ禍で増えたという摂食障害。正しく理解し根気よく取り組もう

コロナ禍で増えたという摂食障害。正しく理解し根気よく取り組もう

2023.03.03

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食事に関連した異常な行動により、心身に大きな影響をおよぼす摂食障害。コロナ禍を機に、日本では新たな患者が約2倍に増えたとの報告もあります。摂食障害に悩む本人だけでなく、家族など周りの人も含め、病気を正しく理解し、根気よく対処していくことが大切です。

主なタイプは「神経性やせ症」と「神経性過食症」の2つ

摂食障害は、体重や体型への異常なこだわりや、それに関係した異常な食行動がみられる病気で、大きく「神経性やせ症(拒食症)」と「神経性過食症」の2つに分けられます。

神経性やせ症では、強いやせ願望から食事を極端に制限し、異常にやせてしまいます。慢性的な低栄養から、血圧や体温、心拍数の低下、無月経、下肢のむくみ、皮膚の乾燥、髪の毛が抜ける、骨粗しょう症などの症状が現れます。また、ときに反動で過食することがあっても、体重が増えることへの恐怖心から、嘔吐や下剤の大量使用といった行動をとります。

病気の本質は心理的な問題にある

一方、神経性過食症では、異常な食欲を抑えることができず、大量の食物を一気に詰め込むように食べる過食発作が起こります。この場合も、神経性やせ症と同様に、患者の多くは嘔吐や下剤の乱用により体重増加を防いでいます。

嘔吐や下剤の乱用をくり返していると、だ液腺が腫れたり、胃酸で歯が溶けたりするほか、脱水や腎不全、カリウム欠乏による不整脈が起こる危険もあります。

いずれの摂食障害も、こうした異常な食行動は自分の意志だけでは止められない状況に陥っています。また、これらの食行動はあくまでも表面的に現れている症状であって、病気の本質は心理的な問題にあります。まずは、こうしたことを患者自身や周りの家族が正しく理解することが大切です。

病気の回復には家族の理解や協力が重要

また、摂食障害から抜け出すためには、偏った考え方や行動パターンを変える必要がありますが、自力でこれを実践することは容易ではありません。そのため、早めに専門医に相談することが勧められます。

治療では、認知行動療法などの心理療法が有効とされており、補助的に薬物療法を行う場合もあります。身体症状が改善するのに伴って、精神症状も回復していくケースも多くみられるため、あせらずに根気よく、治療に取り組んでいくことが大切です。

また、摂食障害の治療は、周りの家族の理解や協力が重要となります。家族も病気を正しく理解し、回復につながる小さな変化がみられたら本人に伝えてあげるなど、伴走者として患者に寄り添ってあげるようにしましょう。

(家庭の医学大全科ウェブサイト 編集部)