日常生活に支障が出る「不安」や「こだわり」─強迫症

日常生活に支障が出る「不安」や「こだわり」─強迫症

日常生活に支障が出る「不安」や「こだわり」─強迫症

2022.09.16

広告

広告

強迫症は、強い不安感や恐怖感から同じ行動を繰り返さずにはいられず、日常生活に支障をきたしてしまう心の病気です。薬物療法や認知行動療法により改善することが可能なので、気になる症状がある場合は、早めに心療内科や精神科で相談しましょう。

頭では不合理だとわかっていても、過度な行動がやめられない

強迫症は、自分の行動が不合理だとわかっていても、強い不安感や恐怖感をぬぐうことができず、同じ行動を繰り返したり、特定のことに過剰にこだわったりする病気で、別名、強迫性障害とも呼ばれます。

強迫症は、「強迫観念」と「強迫行為」という2つの症状を伴うのが特徴です。強迫観念とは、自分の意に反して繰り返し頭に浮かぶ、極めて強い不安感や恐怖感のことです。強迫行為は、この強迫観念を打ち消すために、繰り返し行う過度な行為をいいます。

行き過ぎた行動により、日常生活に支障をきたす

強迫症の代表的な症状として、汚れや感染への恐怖から過剰に手洗いや入浴を繰り返す、ドアノブや吊り革などは不潔に感じてさわれない、戸締まりや火の元などを何度も確認する、などがあります。ほかにも、自分が決めた手順で物事を行わないと気が済まない、物の配置に過剰にこだわる、誰かに危害を加えるかもしれないという不安から刃物を持つことができない、といったものもあります。

手を洗ったり、戸締まりの確認をしたりといったことは、誰もが日常的に行っている行為です。しかし、手洗いや入浴に何時間も費やしている、戸締まりや火の元の確認のために何度も家に戻ったために会社に遅刻してしまう、というように日常生活や社会生活に支障をきたしている場合は、強迫症が疑われます。

強迫症の改善に有効な治療法は?

強迫症の治療には、薬物療法と認知行動療法が有効です。薬物療法では、抗うつ薬のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)により不安を和らげます。

認知行動療法とは、自分の考え方のクセや行動の偏りを把握し、認知や行動パターンを整えていく治療法です。まず、やらずにいられなかった強迫行為をしないで我慢する練習をします。これを繰り返すうちに、不安感や恐怖感が次第に弱くなり、その行為を行わなくても大丈夫だと納得できるようにしていきます。例えば、不潔に感じて物をさわれないという場合は、もっとも抵抗感が低いものから練習し、徐々にハードルを上げていくというように、段階的に行うのが成功の秘訣です。

過度な行動により、精神的な負担や生活上の不便を感じている場合は、早めに専門医に相談しましょう。

(家庭の医学大全科ウェブサイト 編集部)