皮膚の表面がはがれ落ちる難治性の病気「乾癬(かんせん)」
皮膚の表面がはがれ落ちる難治性の病気「乾癬(かんせん)」
2021.10.18広告
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乾癬は、皮膚の表皮がポロポロとはがれ落ちる慢性的な皮膚疾患です。完治は難しいですが、適切な治療により症状がほとんど現れない状態を維持することも可能です。治療とあわせて、ライフスタイルの改善にも努めましょう。
皮膚が衣服とこすれるひじ、ひざなどにおこりやすい
乾癬の典型的な症状は、皮膚の表皮が厚くなって赤く盛り上がり、その表面を銀白色の鱗屑(りんせつ)と呼ばれるものが覆い、ポロポロとはがれ落ちるというものです。
皮膚の症状は、衣服とこすれるなどの刺激を受けやすい、ひじやひざ、すね、腰周り、頭部などに多くみられます。頭部では、髪の毛が伸びるときの皮膚との摩擦が刺激になると考えられています。
乾癬は、症状の現れ方によっていくつかのタイプに分けられます。最も多いものが尋常性乾癬で、乾癬全体の約70~80%に及びます。皮膚症状に加えて、関節炎や爪の変形をともなうものを乾癬性関節炎といいます。その他、乾癬性紅皮症(かんせんせいこうひしょう)、滴状乾癬、膿疱性乾癬があります。
乾癬が人にうつることはない
乾癬は、“かんせん”という読み方の印象(感染をイメージさせる)から、人から人にうつると誤解されがちですが、他の人にうつることは決してありません。
乾癬の原因はまだ解明されていませんが、遺伝的に乾癬になりやすい体質があることがわかっています。そこに、ストレスや不規則な生活、喫煙習慣、肥満、感染症、薬剤などさまざまな要因が加わり、免疫のバランスが崩れることで発症すると考えられています。
治療の選択肢が増え、症状のコントロールが可能に
乾癬を完治させることは難しいですが、近年は治療方法の選択肢が増え、症状がほとんど現れない状態を維持することが可能になってきました。
乾癬の主な治療法には、外用療法、内服療法、光線療法があります。外用療法では、ステロイド薬や活性型ビタミンD3製剤などを塗布することにより、免疫細胞の働きや表皮の新陳代謝の速度を調整します。内服療法では、PDE4阻害薬や免疫抑制剤などが用いられます。
乾癬は、紫外線を浴びることで症状が改善することがあります。これを応用したのが光線療法で、特定の波長の紫外線を患部に照射することにより、過剰に活性化した免疫細胞を抑制します。
これらに加え、2010年より新たに行えるようになったのが抗体療法です。これは、皮下注射や点滴などで薬(生物学的製剤)を投与し、表皮細胞を刺激するサイトカインというたんぱく質の働きをピンポイントで抑制することにより、症状を改善するというものです。
これらの中から症状に合った治療法を行うとともに、ライフスタイルの改善に努めることも大切です。