大人でも発症する中耳炎――種類によって症状はさまざま
大人でも発症する中耳炎――種類によって症状はさまざま
2021.08.20広告
広告
中耳炎は、耳の奥に炎症がおこり、痛みや発熱、聞こえが悪くなるなどの症状が現れる病気です。一般的に子どもの病気と思われがちですが、実際には年齢を問わず発症します。中耳炎は、早期の治療が重要なので、異変に気づいたら早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
急性中耳炎は細菌やウイルスへの感染により発症
中耳炎は、鼓膜の内側の中耳という部分に炎症がおこる病気です。いくつかの種類があり、症状も多岐にわたります。
中耳に急性の炎症がおこるのが「急性中耳炎」で、耳管(じかん:耳と鼻、のどをつなぐ管)を通って入り込んだ細菌やウイルスに感染することで発症します。主な症状は、激しい耳の痛みや発熱、耳だれ(耳の中から膿が流れ出てくること)のほか、耳が詰まったような不快感が現れることがあります。急性中耳炎は、かぜなどをきっかけに発症するケースが多くみられます。
急性中耳炎をくり返し、炎症が慢性化したものを「慢性中耳炎」といいます。慢性中耳炎では痛みはほとんどなく、耳だれの増加、聞こえが悪くなる、鼓膜が破れやすくなるなどの症状がみられます。
進行すると、内耳にある小さな骨が破壊されたり、三半規管や聞こえに関わる神経にも炎症がおこるため、めまいや耳鳴りといった症状も現れます。
痛みや発熱を伴わないものもある
鼓膜の奥の空間に、炎症によってしみ出した体液(滲出液:しんしゅつえき)がたまることでおこるのが「滲出性中耳炎」です。細菌やウイルスに感染し、炎症がおこって耳管が腫れると、耳管の通りが悪くなり、滲出液を排出しづらくなります。その結果、中耳に滲出液がたまり、滲出性中耳炎を発症します。滲出液がたまると鼓膜がうまく振動できなくなるため、聞こえが悪くなるほか、耳が詰まったような不快感が現れます。
滲出性中耳炎では痛みや発熱などの症状がないため、病気を見過ごしてしまいがちです。以前よりもテレビの音量を上げがち、呼ばれても気づかないなど、難聴を示す兆候があれば滲出性中耳炎を疑う必要があります。
重篤な病気を引き起こす中耳炎に要注意
中耳炎のなかでとくに注意が必要なのが、「真珠腫(しんじゅしゅ)性中耳炎」です。鼓膜に病的な耳あかの塊ができるもので、進行すると、顔面神経麻痺や髄膜炎、脳炎などをおこす危険もあります。
そのほか、アレルギー性の病気(鼻ポリープを伴う副鼻腔炎、気管支ぜんそくなど)と合併しやすい「好酸球(こうさんきゅう)性中耳炎」というものもあります。
いずれの中耳炎も、放置してしまうと治療が困難になったり、後遺症が残ったりすることがあるので、異変に気づいたらできるだけ早く受診することが大切です。